1.CRISPR/Cas9システムが、カチオン性ナノエマルジョンおよびリポソームの物理化学的特性に与える影響
  • [出典] "Physicochemical properties of cationic nanoemulsions and liposomes obtained by microfluidization complexed with a single plasmid or along with an oligonucleotide: implications for CRISPR/Cas technology" Schuh RS, Poletto E, Fachel FNS, Matte U, Baldo G, Teixeira HF. J Colloid Interface Sci 2018 Jun 22.
  • 顕微溶液化によりリポソームDOPE, DOTAP, DSPE-PEG、および、ナノエマルジョンMCTを作出して検証し、CRISPRシステムの結合がドロップレットのサイズ、多分散性指数およびゼータ電位に影響を与えないことを確認;ヒト線維芽細胞、Hep-G2およびHEK-293への導入効率それぞれ25%, 15%, 32%
2.[レビュー]Cas13タンパク質を含むタイプⅥCRISPR-CasシステムによるRNA編集の分子機構
  • [出典] "Molecular Mechanisms of RNA-Targeting by Cas13-containing Type VI CRISPR-Cas Systems" O'Connell M. J Mol Biol. 2018 Jun 22.
  • タイプⅥ CRISPR-Casシステムの発見、多様性(4種類のサブタイプ:A, C, D, B1/B2)および分布 ;Cas13遺伝子 (cas13a, c, d, b)の構成;タイプⅥ crRNAの構造;Cas13のcrRNA反復配列認識機構;Cas13aのcrRNA前駆体の成熟化機構;Cas13の標的RNA探索機構;標的RNAとcrRNAの二重鎖の形成とCas13とcrRNAのコンフォメーション変化;プロトスペーサー結合配列 (Protospacer Flanking Site: PFS);HEPNドメインの保存、コンフォメーション変化およびコラテラルRNA切断;Cas13の標的RNAへの結合と特異的切断の機構;Cas13のヌクレアーゼ活性を調節するタイプⅥアクセサリ・タンパク質モジュール;Cas13 RNA編集のバイオテクノロジおよび医療への応用;今後の展望
3.sgRNAとドナーDNAをコードした直鎖化dsDNAを送達することで、CRISPR/Cas9システムによる1塩基変異を生成
  • [出典] "Straightforward Delivery of Linearized Double-stranded DNA Encoding sgRNA and Donor DNA for the Generation of Single Nucleotide Variants Based on the CRISPR/Cas9 System" Jun S, Lim H, Jang H, Lee W, Ahn J, Lee JH, Bang D. ACS Synth Biol. 2018 Jun 20.
  • ドナーテンプレートとなる一本鎖オリゴヌクレオチドとgRNAをコードしたプラスミドをそれぞれ送達する手法に変えて、双方を直鎖化dsDNAにコードして送達する"sg-DNA"システムを開発し、クローニング不要で、多重な1塩基生成をE. coliおよびヒト細胞で実現
4.プール型CRISPRライブラリーのカスマイズ
  • [出典] "CRISPR/Cas-based customization of pooled CRISPR libraries" Kweon J, Kim DE, Jang AH, Kim Y. PLoS One. 2018 Jun 20.
  • 様々な研究グループが開発したハイスループット機能ゲノミクスに利用可能なプール型CRISPRライブラリーを、Addgeneから実費で入手可能であるが、利用者はそれぞれの研究目的に合わせてライブラリーをカスタマイズする必要があり、それには、かなりの時間、作業および経費がかかる。韓国の研究チームは今回、Cas9 RNPsを利用してコンベンショナルなライブラリーを簡便にカスタマイズする手法を開発した。
  • プール型CRISPRライブラリーがU6プロモーターで発現され、プロモーターにはgRNAをコードする領域上流に5'-CCG-3'配列を帯びていることから、これをPAMとして利用することで、プール型CRISPRライブラリーのメンバであるgRNAに対して逆相補的gRNAs (reverse-complementary gRNAs: rc-gRNAs)を設計する。このrc-gRNAsによって、オリジナルのライブラリーから特定のgRNAを欠損させることを可能にした (原論文 Fig.1 を引用した下図参照)。
rc-gRNA
  • 単一遺伝子を標的とする検証に加えて、プール型CRISPRライブラリーからCas9とrc-gRNAのRNPにより、FDA承認薬に関連する27種類のキナーゼ遺伝子を標的とする81種類のgRNAsを同時に除去したカスタム化ライブラリーによるハイスループット・スクリーニングが可能なことも実証した。
5.CRISPRによる生細胞におけるクロマチン凝縮ダイナミクスの可視化
  • [出典] "Live-cell imaging of chromatin condensation dynamics by CRISPR" Xue Y, Acar M. iScience 2018 Jun 5.
  • 酵母の1生細胞において、リボソームDNA (rDNA) クロマチン構造のグルコース飢餓状態における動態を、TET-dCas9-GFPにリバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子(rtTA)および18S rDNAを標的とする9種類のgRNAsを組み合わせたシステムによる可視化を介してタイムラプス顕微鏡で観察し、グルコース飢餓がトリガーとなって、rDNAが2段階 (リラックス状態からループまたはリング構造へ、続いて、捩じれながらさらにコンパクトなクラスターへ)で急速に凝縮することを見出した。
  • また、グルコース飢餓に起因する効率的rDNA凝縮には、コヒーシン複合体ではなくコンデンシン複合体が必要であることが明らかになった。
  • さらに、rDNAに結合したdCas9が発現している細胞の生存にDNAヘリカーゼSgs1が必須であることを見出した。すなわち、dCas9が結合した部位におけるDNA複製へのヘリカーゼの関与が示唆された。
6.網膜疾患のCRISPR/Cas9療法の評価
  • [出典] "Application of genome engineering for treatment of retinal diseases" Jo DH, Kim JH. BMB Rep. 2018 Jun 20.
  • 治療用ゲノム編集システムを硝子体内注射または網膜下腔への注入などにより眼球組織局所的に処方することは容易になった;CRISPRのRNPによる送達とウイルスによる送達;Campylobacter jejuni由来Cas9とLbCpf1;VegfaまたはHif1αを標的とするLbCpf1は、眼球組織おける当該遺伝子発現を阻害し、脈絡膜血管新生を抑制し、オフターゲットは非検出。
 CjCas9関連crip_bio記事
  • CRISPRメモ_2018/04/04 - 1. フレームシフト変異に起因するジストロフィン欠損マウスの機能をCampylobacter jejuni Cas9で回復
  • CRISPRメモ_2018/01/07 - 1. タイプ II-A SauCas9とタイプ II-C CjeCas9は、ssRNAも切断する
7.CRISPR/dCas9を介したエピゲノム編集により、デスモプラキン (DSP)発現抑制
  • [出典] "Reversing Mechanoinductive Desmoplakin (DSP) Expression by CRISPR/dCas9-Mediated Epigenome Editing" Qu J, Zhu L, Zhou Z, Chen P, Liu S, Locy ML, Thannickal VJ, Zhou Y. Am J Respir Crit Care Med. 2018 Jun 20.
  • 特発性肺線維症  https://ja.wikipedia.org/wiki/特発性肺線維症 (IPF) で発現が亢進しているデスモプラキン (DSP)の発現を、CRISPR/dCas9によるDNAメチル化酵素Dnmt3Aの活性化により抑制
8.[コメント]NIHの体細胞ゲノム編集プログラムについて
  • [Comment]Genome editing to 're-write' wrongs. Perry ME, Valdes KM, Wilder E, Austin CP, Brooks PJ. Nat Rev Drug Discov. 2018 Jun 22.
  • より安全でより効果的のゲノム編集療法の研究開発の促進を目指して、NIHが開始したSomatic Cell Genome Editing (SCGE)プログラムに対するコメント