1.C. elegans遺伝子ノックアウトを実現する最適なgRNAsとCRISPR/Cas9手法の選択
  • [出典] "Optimizing guide RNA selection and CRISPR/Cas9 methodology for efficient generation of deletions in C. elegans" Vinci Au1, Erica Li-Leger [..] Donald G. Moerman. bioRxiv 2018 Jul 1.
  • C. elegans遺伝子KOコンソーシウムは、これまでに20,000種類を超えるORFsのうち15,000 ORFsについて推定ヌル変異体を作出し、ORFsのヌル変異体ライブラリー完成にCRISPR/Cas9が最も有望なツールと見ている。
  • ブリテュッシュ・コロンビア大学を中心とする研究チームは、C. elegansの遺伝子編集に成功理に利用されてきたCRISPR/Cas9の種々の手法をテストし、いずれもコンソーシウムが必要とするハイスループット変異体作出には適さなかったことから、DNA修復機構と編集結果のスクリーニング、HDRを利用する場合の相同アームの長さ、Cas9の送達法、およびgRNA選択を見直して、最適なプトロコルを確立した。C. elegansゲノム編集に最適なgRNA選択用のツールはhttp://genome.sfu.ca/crisprからオンラン公開した。
2.CRISPRi-seq:マイコバクテリアの必須遺伝子と転写ユニットの同定と特性解析
  • [出典] "CRISPRi-Seq for the Identification and Characterisation of Essential Mycobacterial Genes and Transcriptional Units" de Wet TJ, Gobe I, Mhlanga MM,  Warner DF. bioRxiv 2018 Jun 29.
  • バクテリアの機能ゲノミクスには、トランスポゾンによるランダムな変異導入と次世代シーケンシングを組み合わせた手法 (transposon sequencing: Tn-seq)が定番であったが、Tn-seqによる必須遺伝子の同定や標的を絞ったスクリーニングには限界がある。
  • ケープダウン大学の研究チームは今回、Streptococcus thermophilus由来Cas9の不活性化版dCas9と、M. tuberculosis遺伝子と相同なM. smegmatisの遺伝子を標的とするプール型sgRNAsライブラリーを組み合わせるCRISPRi-seq法を開発し、Tn-seqで同定された必須遺伝子群の~80%を同定し、両者の長所と短所を論じた。
  • また、オペロンにおける極性効果に注目することで、CRISPRi-seqと画像に基づくハイコンテントスクリーニングを組み合わせて、オペロン内の転写ユニットの同定と機能解析が可能なことも示した。
3.産業上有用な非典型的酵母Yarrowia lipolyticaの機能ゲノミクスに適したゲノムワイドsgRNAライブラリーの構築と利用
  • [出典] "Validating genome-wide CRISPR-Cas9 function in the non-conventional yeast Yarrowia lipolytica " Schwartz C [..] Wheeldon I. bioRxiv 2018 Jun 29.
  • UC Riverside、JGIなどの米国研究チームは今回、Y. lipolyticaのDNA修復機構はS. cerevisiaeと異なりNHEJに依存することから、NHEJ欠損株の細胞死を指標としてsgRNAsの活性を定量化 (cutting score: CS)し、それに基づいて、Y. lipolytica遺伝子の94%をカバーする高活性なsgRNAsのライブラリーを構築;スクリーニング結果から偽陰性を排除した上で必須遺伝子を同定し、また、脂質蓄積の亢進や仮性菌糸を形成しない株を誘導する変異を同定。
4.Up, down, and out:ゲノムワイドCRISPRa、CRISPRiおよびCRISPR-Cas9ノックアウト (CRISPRko)用次世代ライブラリー
  • [出典] "Up, down, and out: next generation libraries for genome-wide CRISPRa, CRISPRi, and CRISPR-Cas9 knockout genetic screens" Sanson KR [..] Doench JG. bioRxiv 2018 Jun 27.
  • Broad/MITの研究チームは今回、研究チームが最近開発したライブラリー (Brunello)が、必須遺伝子と非必須遺伝子を既存のゲノムワイド・ライビラリーよりも効率的に判定可能なことを示した。また、DolcettoとCalabreseが、それぞれ既存のCRISPRiとCRISPRaよりも、効率的であることを示した。
  • 参考ブログ記事:"How to Design Your gRNA for CRISPR Genome Editing" Doench J. Addgene Blog 2017 May 3.
5.CRISPR-Cas12aの標的DNA特異性が因って来たる速度論的基礎
  • [出典] "Kinetic basis for DNA target specificity of CRISPR-Cas12a" Strohkend I [..] Russell R. bioRxiv 2018 Jun 26.
  • テキサス大学オースティン校の研究チームは今回、crRNAを結合したAcidaminococcus sp 由来Cas12a (Cpf1)とオリゴヌクレオチドDNAの系で、Cas12aのDNAへの結合とDNAからの遊離、およびdsDNAのcrRNA標的鎖と非標的鎖の切断を、速度論的に解析した。
  • Cas12aは2段階でDNAにタイトに結合する。PAMを認識後、律速過程であるR-ループ伝播を経て、DNA二本鎖の切断に至る。オンターゲット部位とオフターゲット部位の識別は、R-ループ形成時にgRNAと候補部位との間のミスマッチを検証することで実現する。
  • [関連crisp_bio更新記事] 2019-01-16 Cas12aのdsDNA/ssDNA切断分子機序の統合モデル
6.ショウジョウバエ前胸腺における遺伝子発現を条件付きで操作するCRISPR/Cas9ツールキット - 多糸性組織のテストケースとして
  • [出典] "A Drosophila CRISPR/Cas9 toolkit for conditionally manipulating gene expression in the prothoracic gland as a test case for polytene tissues" King-Jones K, Huynh N. bioRxiv 2018 Jun 22.
  • アルバータ大学の研究チームは、先行研究で、ゲノムワイド前胸腺(prothoracic gland: PG)特異的RNAiスクリーンによって、幼生発生期に必要とされる~1,906遺伝子を同定したが、適切な評価検証法が存在しなかった。今回、CRISPR技術による検証を計画したがこれまで、遺伝子のコピー数が1,024にまでにも及ぶ唾液腺を始めとする多糸性組織特異的なCRISPR/Cas9遺伝子編集の前例が無かった。また、PG特異的遺伝子発現にこれまで広く利用されてきたGal4/UASシステムで発現させたCas9が致死性であったことから、今回、Gal4に依存せずエンハンサー領域に依存して組織特異的にCRISPR/Cas9またはgRNAsの発現を誘導する手法を開発し、general Gateway Cas9 (gG-Cas9)、PG-gCas9とPG-gRNA、と命名した。
  • また、Cas9をユビキタスに低発現させ、リボザイムを組み込んだmRNAからgRNAを組織特異的発現させることで、Gal4依存Cas9がもたらす致死性を回避可能なことも示した。
  • さらに、Cas9にヒト由来プロゲステロン受容体のリガンド結合ドメインを結合しておき、RU486を介して、CRISPR/Cas9システムを介した遺伝子活性化の時空間制御を可能なことを示した。
  • 多糸性組織特異的な遺伝子破壊、CRISPRiおよびCRISPRaを実現するベクター7種類を公開。
  • CRISPR関連文献メモ_2016/11/18- 2. [論文] リボザイムを介したgRNA生成を利用したCRISPR/Cas9 によるゼブラフィッシュへの変異導入