出典
データベース概要
  • LinkedOmicsデータベースは、The Cancer Genome Atlas (TCGA) プロジェクト由来の32種類の癌 (cancer types)/患者11,158人のマルチオミックスデータと臨床データを収録しており、また、TCGAの乳癌、卵巣癌および大腸癌の試料に対応するClinical Proteomic Tumor Analysis Consortium (CPTAC)   由来の質量分析 (MS)に基づいたプロテオミクス・データを統合した初のデータベースである (原論文Figure 1から引用した下図の"A"参照)。
LinkedOmics
三種類のデータ解析モジュール (上図の"B"参照)
  • LinkFinderモジュール:マルチオミックスデータの数十億のデータをもとに、関心ある条件で絞り込んだデータセットにおける属性ペア間の相関を探索・多様な統計的検定を経て可視化。例えば、膀胱癌におけるRB1変異とmRNA発現の相関、乳癌におけるERBB2の増幅とタンパク質リン酸化の相関
  • LinkCompareモジュール:LinkFinderで得られる結果の比較。例えば、同一データセットに対する異なる遺伝子変異で問い合わせ結果の比較 、特定の癌のゲノミクスとプロテオミクスの比較、腫瘍のタイプ間あるいはサブタイプ間の比較;LinkFinder由来の三種類以上の相関関係間の比較も可能
  • LinkInterpreterモジュールGOで定義された26,449種類の機能カテゴリーに基づいた遺伝子セット解析とKEGGに基づいたパスウエイ解析でLinkFinderとLinkCompareで同定した相関関係に生物学的意味づけ
ケーススタディー
  • 膀胱癌においてRB1変異がmRNA発現に与える影響
  • 乳がんにおいてERBB2 (HER2)増幅がタンパク質のリン酸化に与える影響
  • 卵巣癌の予後悪化の指標となるタンパク質群同定
  • 生存期間と相関する遺伝子発現シグナチャーの汎癌解析
  • 12種類の癌において生存期間との相関が最も高い遺伝子APC111Lを同定:mRNA共発現解析とLinkCompareおよびLinkInterpreterにより、APC111Lが癌細胞の浸潤性と悪性度と相関することが示唆された。
LinkedOmics Webサイト
関連bioRxiv投稿
  • "Integration and analysis of CPTAC proteomics data in the context of cancer genomics in the cBioPortal" Wu P, Heins ZJ, Muller JT, Abeshouse AA, Sun Y, Schultz N, Fenyo D, Gao J. bioRxiv 2018 Jan 15.