1. CRISPRゲノム編集によるヒト初代T細胞の機能解析
  • [出典]"Functional Interrogation of Primary Human T Cells via CRISPR Genetic Editing" Chen X [..] Unutmaz D. J Immunol 2018 Jul 18.
  • レンチウイルスを利用してヒト初代T細胞をCas9遺伝子と、コーディング領域またはノンコーディング領域を標的とするgRNAsを安定に発現するように形質転換し、ナイーブ、メモリー、エフェクターまたは制御性のT細胞サブセット全てにおいて、多重遺伝子(CD4CD45CD95)の同時削除を高効率で実現。
  • dCas9に転写調節因子を融合するCRISPRaとCRISPRiも有効であることを実証(例 CRISPRaにより、通常制御性T細胞に特異的に発現するGARP(glycoprotein A repetitions predominant)の非制御性T細胞での発現を実現)。
  • これらのCRISPRゲノム編集によって、CD95削除、ORAI1削除、CD25またはCD127の発現亢進などが表現型に与える作用を特定。
2. 骨髄腫細胞のゲノム・スケールCRISPR-Cas9スクリーニングにより、免疫調節薬剤に対する感受性を調節する因子を同定
  • [出典]"A genome-scale CRISPR-Cas9 screening in myeloma cells identifies regulators of immunomodulatory drug sensitivity" Liu J [..] Cang Y. Leukemia 2018 Jul 19.
  • サリドマイドからの誘導体レナリドミド(lenalidomide)およびポマリドミド(pomalidomide)を含む免疫調節薬剤 (Immunomodulatory drugs, IMiDs)は、セレブロン(CRBN)に結合し、E3ユビキチンリガーゼのCRL4CRBNを活性化し、必須転写因子IKZF1とIKZF3をプロテアソーム分解に誘導し、多発性骨髄腫(multiple myeloma, MM)の細胞毒性を抑制する。CRBNはまた、E3ユビキチンリガーゼSCFSCFFbxo7による分解の対象でもある。
  • CRISPR-Cas9スクリーニングの結果、Cullin-RINGユビキチンリガーゼを不活性化するCSN9シグナロソーム複合体がSCFFbxo7を介したCRBN分解を阻害し、IMiDsへの感受性をもたらす一方で、CSN9シグナロソーム複合体の機能喪失がSCFFbxo7複合体を活性化してCRBNの分解を亢進しIMiDに対する耐性をもたらす機序を見出した。
3. Lactobacillus gasseriにおける欠失に基づくCRISPR-Cas9ターゲッティング回避
  • [出典]"Deletion-based escape of CRISPR-Cas9 targeting in Lactobacillus gasseri" Stout EA, Sanozky-Dawes R, Goh YJ, Crawley AB, Klaenhammer TR, Barrangou R. Microbiology 2018 Jul 19.
  • ヒト共生バクテリアL. gasseriは、タイプⅡ CRISPR-Cas獲得免疫応答システムを備えているが、可動遺伝因子(Mobile genetic elements, MGEs)はそれを回避可能である。ノースカロライナ州立大学のRodolphe Barrangouらは、CRISPR-Casに対する標的配列とPAMからなるプラスミドの応答を解析し、CRISPRアレイからスペーサが自発的に欠失する(spontaneous excision)ことが、回避の主要な機構であることを見出した。この機構の存在によって、L. gasseri集団全体としてバクテリオファージに対する耐性を維持しつつ、サブププレーションが有利なMGEを獲得することが可能になっている。
4. 蛍光標識したgRNA(fgRNA)によりPol Ⅱ駆動・階層的CRISPR回路の開発を促進 
  • [出典]"Fluorescent guide RNAs facilitate development of layered Pol II driven CRISPR circuits" Menn D, Pradhan S, Kiani S, Wang X. ACS Synth Biol 2018 Jul 18.
  • RNAポリメラーゼPol IIプロモーターからのgRNA発現により、CRISPR技術に基づく複雑な遺伝子ネットワークの合成が可能になる。fgRNAを利用して合成遺伝子ネットワークの動態を可視化することで、回路の改変や改善を容易に。
5. CRISPR-Cas12エフェクター複合体のシード配列
  • [出典]"Defining the Seed Sequence of the Cas12b CRISPR-Cas Effector Complex" Jain I [..] Semenova E. RNA Biol 2018 Jul 19.
  • Bacilus thermoamilovorans由来タイプV Cas12bエフェクターのシード配列を同定。シードの長さは他のエフェクターと異なり5塩基と短いが、Cas12bでは標的切断サイトにおけるヌクレオチド塩基が標的結合に決定的役割を果たす。この現象は、Alicyclobacillus acidoterrestris由来のCas12bでも確認された。
6. ストレプトマイセス属ゲノムに見られるCRISPR遺伝子座の比較解析
  • [出典]"Comparative Analysis of CRISPR Loci Found in Streptomyces Genome Sequences" Zhang J, Li X, Deng Z, Ou HY. Interdiscip Sci Comput Life Sci (2018). 
  • 公開されている46種類の完全ゲノムに存在する182遺伝子座から、9種類の直列反復配列
  • グループと、3つのグループに分類可能な2104スペーサを同定。その中で、11スペーサだけが10種類のプラスミド配列と一致。CRISPRアレイ近傍のcas遺伝子クラスタは主としてサブタイプI–Eに属する 。
7. [書籍]ゲノム編集とゲノム工学 - TALENs, ZFNsおよびCRISPRsから分子手術法まで