1. SaCas9でジストロフィー・モデルにおけるジストロフィン発現を修復
  • [出典]"CRISPR-induced deletion with SaCas9 restores dystrophin expression in dystrophic models in vitro and in vivo" Duchêne BL [..] Tremblay JP. bioRxiv 2018 Jul 26.
  • DMD遺伝子の1つまたはいくつかのエクソンが欠損すると、読み枠がずれて未成熟終止コドン(premature termination codon: PTC)が生成され、ジストロフィン・タンパク質欠損に至り、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが発症する。ジストロフィン遺伝子中央のロッド・ドメインは24回続くスペクトリン(spectrin)様配繰り返し(SLRs)で形成されている。
  • カナダの研究チームは今回、読み枠を修復するだけでなくSLRsのフェーズがあっているジストロフィン・タンパク質の生成を目的とするゲノム編集を目指した。
  • SaCas9と1対のsgRNAsを単一のAAVで送達し、47番目のエクソンと58番目のエクソンが直接結合した47-58ハイブリット・エクソンが形成されるようにDNA領域を削除することで、目的を達成した。
  • この手法により、4人の患者由来の筋芽細胞においてハイブリッド・エクソンの読み枠を67-86%回復し、また、del52hDMD/mdxモデルマウスの心筋におけるジストロフィン発現の一部回復を実現。
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2. ラットにおいて、Angptl8をCRISPR/Cas9でノックアウトすると、血漿トリグリセリド濃度と肥満が抑制される
  • [出典]"CRISPR/Cas9-mediated Angptl8 knockout suppresses plasma triglyceride concentrations and adiposity in rats" Izumi R, Kusakabe T [..] Nakao K. J Lipid Res. 2018 Jul 24.
  • 京大の研究チームは今回、ラットのAngptl8 (アンジオポエチン様タンパク質8)のノックアウトモデルを作出し野生型ラットと比較し、グルコース代謝には変化が起こらなかったが、血漿トリグリセリド濃度と肥満が抑制されることを見出した。
3. CRISPR-Cpf1が誘導するNHEJ過程によるMycobacterium smegmatisのゲノム編集
  • [出典]"A CRISPR‐Cpf1‐assisted Non‐homologous End Joining Genome Editing System of Mycobacterium smegmatis" Sun B [..] Yang S. Biotechnol J 2018 Jul 24.
  • M. smegmatisは非病原性で増殖が速いことからMycobacterium研究のモデルとして有用であるがこれまで効率的なゲノム編集の手段がなかった。他のバクテリアのゲノム編集には利用可能なSpCas9もその毒性のため適用できなかった。
  • 14種類のCasエフェターをテストし、Treponema denticola Cas9、Neisseria meningitidis Cas9、
  • Francisella tularensis由来でCorynebacterium glutamicumコドン最適化したFnCpf1_cgがM. smegmatisの細胞成長に影響しないことを見出し、それらのゲノム編集効率を3種類の遺伝子で評価。
  • NHEJ過程が唯一認められたFnCpf1_cgが最も効率的であり、N回の遺伝子編集を7N+2日間で実行することが可能であった。
4. [News & Comment]ウイルス集団は協働してバクテリアを打ち負かす
  • [出典]"Viruses cooperate to defeat bacteria" Bernheim A, Sorek R. Nature 2018 Jul 23.
  •  バクテリオファージが、初回の感染が実現しない間にも宿主バクテリアの免疫システムを抑制するanti-CRISPRタンパク質を残し、2回目以後の感染成功に繋げる機構を、互いに独立にそれぞれ独自の手法の事件から得た結果から提唱するに至ったCell誌掲載2論文をハイライト
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5. 雌性細胞がナイーブ多能性を獲得する因子と培養条件のハイスループットスクリーニングに有用な細胞プラットフォーム開発
  • [出典]"Live cell imaging of X chromosome reactivation during somatic cell reprogramming" Tran THY, Fukuda A [..] Hisatake K. Biochem Biophys Rep 2018 Jul 24.
  • CRISPR/Cas9を利用して、EGFPとヒト化Kusabira-Orange (hKO)の遺伝子をマウスX染色体双方のSyap1またはTaf1遺伝子近傍の遺伝子間領域にノックインしたESCsを樹立;ESC分化時X染色体不活性化(X chromosome inactivation, XCI)のXCIと体細胞のX染色体の再活性化(X chromosome reactivation, XCR)の観察を実現;
6. [特許]ゲノム編集による異常ヘモグロビン症を含むヒト遺伝子疾患療法
  • [出典]"Materials and methods for treatment of human genetic diseases including hemoglobinopathies" US20180200387. 公開日 07/19/2018. 発明者 Porteus MH. 権利 CRISPR Therapeutics.
  • DNAエンドヌクレアーゼを介したゲノム編集によってヒト細胞における胎児型ヘモグロビン(HbF)レベルを向上させる鎌状赤血球症やβサラセミアなどの治療;Cas9, ZFN, TALEN, ホーミングエンドヌクレアーゼ,  dCas9-FoklまたはMegaTalを使用。
7. [特許]H1プロモーターを利用したCRISPR gRNAsの発現法