[出典]"Exosomal PD-L1 contributes to immunosuppression and is associated with anti-PD-1 response" Chen G, Huang AC [..] Guo W. Nature 2018 Aug 8.

背景

  • 腫瘍細胞は、活性化T細胞表面に発現するPD-1受容体に対するプログラム細胞死リガンド-1 (PD-L1)を表面に発現し、PD-1/PD-L1 チェックポイント・シグナル伝達を介して、免疫監視機構を回避する。このシグナル伝達を阻害する抗PD-1抗体は、転移性メラノーマを含む癌に対して画期的な治療効果を示すが、奏功する患者は限られている。このため、免疫チェックポイント阻害剤の研究開発と共にコンパニオン診断 (Companion diagnostics; CDx)薬の研究開発が進められている。
成果概要
  • ペンシルベニア大を中心とする米・中の共同研究チームは今回、転移性メラノーマから分泌される細胞外小胞、主としてエクソソーム、がPD-L1を表面に発現することを同定し、加えて、抗PD-1抗体療法の早期にエクソソーム発現PD-L1のレベルを、転移性メラノーマ患者を抗PD-1抗体癌療法対するresponderとnon-responderに層別化の指標として利用可能なことを示した。
  • メラノーマ由来のエクソソームがPD-L1を帯びている;転移性メラノーマ由来エクソソームが初代メラノーマ由来エクソソームよりも高レベルのPD-L1を帯びている。PD-L1はマイクロベシクルでも検出されるが、エクソソームに比べると低レベル。
詳細
  • 腫瘍細胞表面のPD-L1は、活性化T細胞により分泌されるIFN-γに応答して、上方制御され、PD-L1が細胞外ドメインを介してT細胞のPD-1に結合しT細胞を不活性化することが、知られている。エクソソームのPD-L1も、腫瘍細胞表面のPD-L1と同じトポロジーをとり、細胞外ドメインがエクソソームの表面に露出し、T細胞のPD-1に結合する。
  • エクソソームPD-L1のPD-1への結合は、濃度に依存し、PD-L1抗体によって阻害される。さらに、メラノーマ細胞が分泌するエクソソームのPD-L1のレベルがIFN-γによって顕著に上昇し、エクソソームのPD-1への結合も増加する。
  • エクソソームの生成と放出に関わるESCRT(endosomal sorting complex required for transport)関連因子をノックダウンすると、腫瘍細胞内のPD-L1が増加し、エクソソームPD-L1レベルが低下する。
  • メラノーマ患者と健常者の血中循環エクソソームの比較:エクソソームの数とエクソソームのタンパク質の総量には差異が見られない;PD-L1レベルについては、メラノーマ患者が有意に高い。
  • メラノーマ患者におけるペンブロリズマブ投与がエクソソームPD-L1レベルに与える影響と治療効果の解析から、エクソソームPD-L1が患者の層別化に有効と結論。
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