1. Francisella novicida Cas12aの活性は、CRISPRアレイの下流の構造の影響を受ける
[出典] "The Francisella novicida Cas12a is sensitive to the structure downstream of the terminal repeat in CRISPR arrays" Liao C, Slotkowski RA, Achmedov T, Beisel CL. RNA Biol. 2018 Sep 25.
  • North Carolina State U.とHelmholtz Instituteの研究チームは、 クラス2タイプV-A CRISPRエフェクタータンパク質Cas12a (旧名 Cpf1)は、単独で、転写されたCRISPRアレイから多重gRNAを生成可能であることから、多重編集に有用なエフェクターとして注目を集めている。Cas12aによる遺伝子編集において、これまでgRNA配列の最適化が試行されてきたが、North Carolina State UとHelmholtz Institute for RNA-based Infection Researchの研究チームは今回、FnCas12aの活性がCRISPRアレイの3末端リピート配列の下流の構造に依存することを明らかにした。
2. Nested CRISPRを開発し、線虫において内在蛍光レポーターを効率的に生成
[出典] "Efficient generation of endogenous fluorescent reporters by Nested CRISPR in Caenorhabditis elegans" Vicencio J, Martinez-Fernandez C, Serrat X, Ceron J. bioRxiv. 2018 Sep 26.
  • CRISPR技術によってモデル生物の遺伝子欠損変異体やミスセンス変異体の作出は容易になったが、内在蛍光レポーターの生成は未だ非効率的である。セレクション・マーカを帯びたプラスミドは効果的ではあるが、煩雑で複雑なクローニングを必要とする。Bellvitge Biomedical Research Instituteの研究チームは今回、安定した内在蛍光レポーターを生成するクローニング不要なCRISPR RNPを利用するNested CRISPRの手法を開発した。
  • Nested CRISPRはGFPまたはmCherry配列を3分割し、第一段階で、200-bp以下のssDNAドナーを利用した5末端領域と3末端領域を標的部位にを挿入し、第二段階で、第一段階で挿入した配列との相同性を利用して中間領域のフラグメントを含むdsDNAドナー (PCR産物 ~ 700-bp)をHDRを介して挿入し、蛍光タンパク質配列を完成させる。この手法は、第一段階におけるssDNAの挿入効率が極めて高いことと、第二段階の編集効率が40%に達することから、効果的であった。このNested CRISPRを利用して、第一段階で欠失変異体生成し第二段階で転写レポーター挿入することも実現した (Ceron研究室のツイート引用下図参照)。
 Ceron研究室のツイートから引用
 Ceron研究室からcrisp_bioへのメッセージ(ツイート) 2018-10-04 追記
 https://twitter.com/CeronLab/status/1046880651251728386

3. CRISPR-Cas9 RNPによる珪藻Phaeodactylum tricornutumの遺伝子多重ノックアウト
[出典] "One-step generation of multiple gene knock-outs in the diatom Phaeodactylum tricornutum by DNA-free genome editing" Serif M, Dubois G, Finoux AL, Teste MA, Jallet D,  Daboussi F. Nat Commun. 2018 Sep 25.
  • 色素や長鎖オメガ3脂肪酸といった有用物質を生合成する珪藻フェオダクチラムの代謝工学実現には複数遺伝子の編集が必要である。一方で、CRISPR-Cas9の送達は低効率で、変異体を濃縮するために抗生物質を利用したセレクションを必要とする。Université de Toulouseの研究チームは今回、CRISPRCas9 RNPをパーティクル・ガン法で送達することで、セレクション用の外来遺伝子フリーで、効率的な多重遺伝子編集を実現した (原論文 Fig. 3引用下図参照)。P. tricornutum
  • 2種類の内在遺伝子、PtUMPSPtAPT、をセレクション・マーカーとして利用可能なことを同定し、例えば、PtUMSを標的とするRNPと編集対象遺伝子を標的とするRNPを同時に送達する、また、6つのRNPを送達することで三重変異体を一段階で作出した。
  • UMPSAPT は、P. tricornutum以外の微細藻類によく保存されていることから今回開発した手法は、P. tricornutumと同様にトランスフェクションが困難な微細藻類や、バイオブリック (プロモーター、ターミネーター)を欠損している微細藻類へ、展開可能である。