[出典] "Targeting of NLRP3 inflammasome with gene editing for the amelioration of inflammatory diseases" Xu C, Lu Z [..] Wang J. Nat Commun. 2018 Oct 5.
  • 自然免疫において、パターン認識受容体NLRP3がASCやカスパーゼ1と形成するタンパク質複合体インフラマソーム (下図インフラマソームモデル図参照)の過剰な活性化が、NLRP3 inflammasome
    さまざまな炎症性疾患を誘起することから、治療標的としてNLRP3インフラマソームの解析が進んでいる。
  • 華南理工大学と中国科学技術大学およびUCLAの研究チームは今回、NLRP3を標的とするCRISPR/Cas9による遺伝子治療の可能性を示した。
  • 研究チームは始めに、Cas9 mRNA (mCas9)とgRNAをマクロファージへデリバーするために最適なカチオン性脂質高分子ナノ粒子 (cationic lipid-assisted polymeric nanoparticles: CLANs)をスクリーニングした (原論文 Fig. 1引用下図参照)。CLAN
  • 次に、NLRP3を標的とするgRNA (gNLRP3)を組み入れた最適化CLAN (CLANmCas9/gNLRP3)を利用することで、マクロファージにおけるNLRP3のノックアウト、ひいては、さまざまな刺激に対するNLRP3インフラマソームの活性化の阻害を実現した。
  • CLANmCas9/gNLRP3をC57BL/6マウスに静脈内注射したところ、LPS (リポポリサッカライド)に誘起された敗血症性ショックおよび尿酸一ナトリウム結晶に誘起された腹膜炎の急性炎症が緩和された。
  • さらに、CLANmCas9/gNLRP3は、インスリン感受性を改善し、高脂肪食に誘起された2型糖尿病 (T2D)における脂肪細胞の炎症を緩和した。
  • 本研究によって、マクロファージへのCRISPR/Cas9システムの送達法が確立され、NLRP3依存性炎症疾患の有力な治療法が提示された。