[出典] "Synthetic switch to minimize CRISPR off-target effects by self-restricting Cas9 transcription and translation" Shen CC, Hsu MN, Chang CW, Lin MW, Hwu JR, Tu Y, Hu YC. Nucleic Acids Res. 2018-11-20
  • CRISPR/Cas9は強力なゲノム編集システムであるが、無制御なCas9ヌクレアーゼの発現はオフターゲット編集さらにはin vivoでの免疫応答させ誘発するリスクを伴っている。
  • 国立清華大学、国立台湾大学などの台湾の研究グループは今回、合成生物学の手法にヒントを得て、Cas9の発現を転写レベルおよび翻訳レベルで自己制御するスイッチを開発した。転写レベルのスイッチはgRNAを介したcas9遺伝子の自己開裂である。翻訳レベルのスイッチには、京都大学の京都大学の井上 丹、齊藤 博英らが開発した古細菌のリボソームタンパク質の一種L7AeとL7Aeに特異的に結合するキンクターンRNAの結合をもとにしたL7Ae:K-turnスイッチ*を利用する:(*)「たんぱく質合成のオン・オフスイッチを開発」京都大学・JSTプレスリリース 2009-12-14. 
  • 下図左は、原論文Figure 1から引用したプラスミドの構成:A) L7Ae:K-turnスイッチ・プラスミド (pK-CLY);B) 標的切断用sgRNAに自己切断用sgRNAを加えたプラスミド
serl-restricting Cas9 1 self-restricting Cas9 2
  • 上図右は、原論文Figure 1-Cを引用した細胞内でのCas9発現と人工スイッチによる発現抑制の模式図
  • 人工スイッチを利用することで、プラスミドを導入後6時間後にCas9の発現が検出可能になり、高効率なオンターゲット編集を実現すると共に、72時間に渡りCas9の発現とオフターゲット編集を最小限に留めることが可能。
  • 人工スイッチは十分小型であり、自己制約型Cas9発現用のウイルスベクターに組み込み可能であり、ひいては、in vivoゲノム編集の'hit and run'が叶井。