crisp_bio注: 2018/11/26 20:45 記事タイトル中の日付を修正しました (2018/11/25から2018/11/26へ)
1. dCpf1による転写調節の特性を大腸菌にて検証
[出典]"Systematically investigating the key features of the DNase deactivated Cpf1 for tunable transcription regulation in prokaryotic cells" Miao C, Zhao H, Qian L, Lou C. Synth Syst Biotechnol. 2018-11-19.
  • Cpf1は、crRNAの生成と標的DNA切断の二役を担い、また、DNaseとRNaseの双方の活性を備えている (2017-04-12 CRISPR関連文献メモ_2016/04/21 1. Zhangチームが発掘したCpf1を、Charpentierチームが磨く)。
  • 中国科学院微生物研究所、中国科学技術大学、北京大学ならびに中国科学院大学の研究チームは今回、DNase不活性化Cpf1 (dCpf1)について、効果的に不活性化する変異の同定、dCpf1の転写調節活性に必要なcrRNAの要件、多重編集への要件およびPAM依存性を、大腸菌において網羅的に検証し、可能性がある全てのPAM配列について転写調節結果を推定するアルゴリズムを開発した。
  • [関連論文]DNase-dead Cpf1 mutant (ddCpf1)論文:Multiplex gene regulation by CRISPR-ddCpf1" Zhang X, Wang J, Cheng Q, Zheng X, Zhao G, Wang J. Cell Discov. 2017-06-06:大腸菌おいてddCpf1による遺伝子発現抑制効果を確認;RNase活性がin vivoでCRISPRアレイ前駆体から成熟crRNAを多重に生成し、多重遺伝子調節実現
2. [プロトコル]CRISPR/Cas9技術による蛍光標識とiPS細胞からの3次元オルガノイド形成技術による腎臓の創薬モデル作出
[出典]"A CRISP(e)R view on kidney organoids allows generation of an induced pluripotent stem cell–derived kidney model for drug discovery" Boreström C et al. Kidney Int. 2018-12. Online 2018-07-31.
  • SIX2-GFP, NPHS1-GFPおよびSIX2-GFP/NPHS1-mKateヒトiPSC作出;ネフロン前駆体の成熟をGFPとmKateの発現で観察;オルガノイドはポドサイトと尿細管細胞を備えている
3. イメージ解析を伴うアレイ型CRISPRスクリーンから、コクサッキーウイルス感染に必要な宿主遺伝子を同定
[出典]"Arrayed CRISPR screen with image-based assay reliably uncovers host genes required for coxsackievirus infection" Kim HS, Lee K, Kim SJ, Cho S, Shin HJ, Kim C, Kim JS. Genome Res. 2018 Jun;28(6):859-868. Online 2018-04-30.
  • プール型CRISPRスクリーンは表現型に強い影響を与えない遺伝子や細胞生存の必須遺伝子を見逃す弱点を伴っている。Kim JSらの韓国の研究チームは、1,514遺伝子を標的とするアレイ型CRISPRスクリーンを実現し (原論文Figure 2引用下図参照)、プール型CRISPRスクリーンやsiRNAノックダウン・スクリーンでは見逃されていた掲題宿主遺伝子群を同定Arrayed screen
4. ヒトのケラチノサイト初代細胞のCRISPR/Cas9ゲノム編集により、UVBに対する免疫応答にNLRP1インフラマソームが必須であることを同定
[出典]"Genome Editing of Human Primary Keratinocytes by CRISPR/Cas9 Reveals an Essential Role of the NLRP1 Inflammasome in UVB Sensing" Fenini G, Grossi S, Contassot E, Biedermann T, Reichmann E, French LE, Beer HD. J Invest Dermatol. 2018-12. Online 2018-08-07.
  • UBVはケラチノサイトに免疫応答を誘導し、インフラマソーム形成を介して、炎症性サイトカイン前駆体proIL-1βと-18の活性化と分泌に至ることが共通認識であるが、ケラチノサイトによるUVB感知とインフラマソーム形成の分子機構については議論が別れている。
  • チューリッヒの研究チームは今回、NLRP3ではなくNLRP1のインフラマソームが分子機構の鍵を握っていることを同定した。さらに、カリウム・イオノフォアの一種であり免疫細胞におけるNLRP3活性化因子として知られているニゲリシンに応答するインフラマソーム活性化に、NLRP3ではなくNLRP1が必要であることも同定した。
5. 全ゲノムCRISPRスクリーンにより筋層浸潤性膀胱癌におけるシスプラチンによる細胞死におけるMSH2の機能を同定
[出典]"A Whole-genome CRISPR Screen Identifies a Role of MSH2 in Cisplatin-mediated Cell Death in Muscle-invasive Bladder Cancer" Goodspeed A, Jean A, Costello JC. Eur Urol. 2018-11-07
  • MSH2ノックダウンはシスプラチンによる膀胱癌細胞の細胞死を低減する(シスプラチン耐性を増す)一方で、MSH2欠損はシスプラチンのアナログであるオキサリプラチンを含む他の化学療法に対する耐性には影響を与えない。MSH2タンパク質レベルはシスプラチン耐性のバイオマーカとして利用可能である。
6. 膀胱癌に対するPD-1阻害とCRISPR-Cas9によるlncRNA UCA1ノックアウトとの相乗的抗腫瘍効果を同定
[出典]"Synergistic Antitumor Effect on Bladder Cancer by Rational Combination of Programmed Cell Death 1 Blockade and CRISPR-Cas9-Mediated Long Non-Coding RNA Urothelial Carcinoma Associated 1 Knockout" Zhen S Lu J, Chen W, Zhao L, Li X. Hum Gene Ther. 2018-11-19.
  • UCA1 (Urothelial Carcinoma Associated 1)とPD-1を標的とするCRISPR-Cas9の効果を5637膀胱癌細胞in vitroと5637膀胱癌細胞移植SCIDマウスin vivoで確認
7. 成熟トマトのペクチン分解を調節する遺伝子を標的とするCRSIPR変異体の解析
[出典]"Characterisation of CRISPR mutants targeting genes modulating pectin degradation in ripening tomato" Wang D [..] Seymour GB. Plant Physiol. 2018-11-20.
  • U. Nottinghamをはじめとする英・米・中・マレーシアの研究グループは、CRISPR/Cas9でペクチン分解酵素 (ペプチン酸リアーゼ 、ポリガラクツロナーゼ2aおよびβ-ガラクタナーゼ)遺伝子(PL, PG2aおよびTBG4)に変異を導入し、変異体の比較解析を行い、PLだけがトマトの硬さに関与し、 PG2aとTBG4の変異が果実の色と重さに影響することを明らかにした。
8. イネにおいてCRISPR/Cas9によりレトロトランスポゾン(TE)を欠損
[出典]"Targeted deletion of rice retrotransposon Tos17 via CRISPR/Cas9" Saika H, Mori A, Endo M, Toki S. Plant Cell Rep. 2018-11-21.
  • 植物ゲノムにおいて初めてTEの編集を実現;具体的には、カルスにおいてTos17を挟むLTRに変異を誘発することでTos17を削除し、Tos17ホモ型欠損イネを作出;TE挿入により不活性化された重要遺伝子の発現の復活法として、特に果樹に、有用