[crisp_bio  2019-03-06追記] 項目2のbioRxiv投稿論文にmBio誌発表論文へのリンクを追加 

1. クラス2タイプV CRISPR-Casシステムの新たなエフェクター/サブタイプとそのDNA/RNA切断活性の同定
[出典] "Functionally diverse type V CRISPR-Cas systems" Yan WX, Hunnewell P [..] Koonin EV, Cheng DR, Scott DA. Science. 2018-12-06.
  • クラス2システムには、タイプⅡ 、V、およびⅥに分類されている:タイプⅡは2つのヌクレアーゼドメイン (HNHとRuvC)を帯びたCas9を特徴とし、dsDNAを切断する;タイプVは、RuvCヌクレアーゼドメインを帯びたCas12を特徴とし、PAM配列に隣接するdsDNAを選択的に切断するとともに、ssDNAを非選択的に切断する;タイプⅥは、2つのHEPNドメインを帯びたCas13を特徴とし、RNAを切断する。
  • CRISPR-Casシステムの中でクラス2タイプVシステムについてはこれまで、サブタイプのV-A(Cas12a)とV-B (Cas12b)について詳細な解析が行われてきた。Arbor BiotechnologiesとNCBIの研究チームは先行論文で、独自に構築した293,985種類のCRISPR-Casシステム候補を集積したのデータベースからサブタイプⅥに属するCas13dを報告していた (crisp_bio記事参照:2018-03-17 これまでで最小かつヒト細胞で活性なCas13dの同定と解析2報 - Salk研;Arbor Biotechnologies/NCBI)。
  • 研究チームは今回、タイプVエフェクターの分類木の上で、Cas12a (Cpf1)、Cas12e (CasX)、Cas12d (CasY)とクラスタを形成するCas12c (V-C)、Cas12bとクラスタを形成するCas12h (V-H)とCas12i (V-I)、および、Cas14ファミリー (crisp_bio記事参照:2018-10-19 メタゲノムからssDNAをトランス切断するCas14ファミリーを発見しDETECTRへ展開)を含むサブタイプV-UエフェクターおよびトランスポゾンをコードするTnpBsとクラスターを形成するCas12g (V-G)について核酸切断活性を同定した (括弧内は今回判定したサブタイプ)。
  • Cas12-c、-hおよび-iは、RNA誘導dsDNA切断活性を帯びる。
  • Cas12iは、crRNAスペーサに相補的なDNA鎖と非相補的なDNA鎖に対する活性が著しく異なりdsDNAニッキングを誘導する。
  • Cas12gは、RNA誘導ssRNA切断に加えて、非選択的にssRNAとssDNAを切断する。
  • 関連crisp_bio記事:CRISPR関連文献メモ_2016/12/27 1. 未だ分離培養されていない環境微生物からCas9に加えて新規Cas、CRISPR-CasXとCRISPR-CasY、を発見
2. 海洋微生物のCRISPR spacersにマッチするビリオプランクトン遺伝子を同定
[出典] "CRISPR spacers indicate preferential matching of specific virioplankton genes" Nasko DJ, Ferrell BD, Moore RM, Bhavsar J,  Polson SW, Wommack KE. bioRxiv. 2018-12-05. [2019-03-06追記] "CRISPR Spacers Indicate Preferential Matching of Specific Virioplankton Genes" Nasko DJ, Ferrell BD, Moore RM, Bhavsar JD, Polson SW, Wommack KE. mBio. 2019-03-05
  • U Delawareの研究チームは今回、Global Ocean Sampling DataTara Oceans Dataのデータから、CRISPR Recognition Tool (CRT)  を改良したCASC (CASC Ain’t Simply CRT) により海洋微生物に内在するスペーサを推定し、Tara Oceans viromesとViral Informatics Resource for Meganoeme Exploration (VIROME、virome.dbi.udel.edu)からのビリオプランクトン (virioplankton)遺伝子の中で、メチルとランスフェラーゼとインテグラーゼの遺伝子と一致する傾向を見出したが、スペーサと一致する遺伝子のほぼ半分の機能は不明であり、いくつかの遺伝子とスペーサは多対多の関係にあることも見出した。
3. CRISPR/Cas9による神経細胞におけるドーパミン-β-モノオキシゲナーゼのノックダウンにより、 青斑核 から分泌されるノルアドレナリンの役割を解析
[出典] "In vivo cell type-specific CRISPR knockdown of dopamine beta hydroxylase reduces locus coeruleus evoked wakefulness" Yamaguchi H, Hopf FW, Li SB, de Lecea L. Nat Commun. 2018-12-06.
  • 青斑核 (Locus coeruleus, LC)を介した覚醒には、LCから分泌されるノルアドレナリン(NE)が必須であることを、CRISPR/Cas9による遺伝子編集で裏付け:マウスにおいて、ドーパミンからノルアドレナリンを生成するドーパミン-β-モノオキシゲナーゼ をコードするdbh遺伝子にLC-NE特異的にフレームシフト変異を導入 (原論文Fig. 1引用下図参照)In vivo cell type-specific CRISPR knockdown
4. 抗CRISPRタンパク質AcrIIC4とAcrIIC5により、バクテリアとヒト細胞においてCas9を阻害する
[出典] "Potent Cas9 Inhibition in Bacterial and Human Cells by AcrIIC4 and AcrIIC5 Anti-CRISPR Proteins" Lee J [..] Maxwell KL, Sontheimer EJ. mBio 2018-12-04.
  • 抗CRISPRタンパク質 (Acrs)in silico同定パイプラインを構築し一連のAcrsの同定と機能解析を続けてきたU. Massachusetts Medical SchoolとU Torontoの研究グループからの論文:Haemophilus parainfluenzaeとSimonsiella muelleriからそれぞれ、新たなant-CRISPRタンパク質Acrs (タイプII-C Cas9阻害タンパク質)、AcrIIC4とAcrIIC5を見出し、対応するCas9をそれぞれ同定;AcrIIC5がこれまでて最も強力にNmeCas9を阻害することを同定;AcrIIC4とAcrIIC5はいずれもCas9のDNAへの結合を阻害 (原論文Fig. 6引用下図参照)anti-CRISPR
  • 関連crisp_bio記事 2017-06-12 CRISPRオフスイッチ:CRISPR vs 抗-CRISPR
5. [特許] CRISPR/Cas9による細胞内RNAの一塩基分解能編集法Cas9-directed RNA editing (CREDIT)
  • 公開日 11/22/2018;発明者・権利者 Yeo E, Brannan K, Marina R, Nelles D.
  • dCas9-アデノシンデアミナーゼのデアミナーゼ・ドメイン
6. [特許] 真核生物細胞における標的遺伝子両アレル・ノックアウト法
  • 公開日 11/22/2018;発明者 Yu B, Larrick J;権利者 Larix Bioscience, LLC
  • 利用例:Fut8をノックアウトした哺乳類細胞を利用して高い抗体依存性細胞傷害 (ADCC)活性を帯びた非フコシル化抗体を作出
7. Intellia Theraputics、細胞療法研究開発でノバルティスとの連携を強める
  • Intellia Theraputicsは12月6日、in vivoおよびex vivoにおけるCRISPR/Cas9療法の研究開発を進めているところ、目の幹細胞を利用した革新的ex vivo細胞療法の開発を目指して、ノバルティスとの協力関係を拡大すると発表した。
  • これによってIntelliaは、ノバルティスの脂質ナノ粒子 (lipid nanoparticle, LNP)技術をin vivoに加えてex vivoでの全てのゲノム編集に展開可能になる。