[出典] "Engineering Epigenetic Regulation Using Synthetic Read-Write Modules" Park M, Patel N, Keung AJ, Khalil AS. Cell. 2018-12-02.

概要
  • Ahmad S. KhalilらBoston UniversityとNorth Carolina State Universityの研究チームは今回、DNAとヒストン・タンパク質のエピジェネティック・マークの書き込み因子 (writers)と読み出し因子 (readers)からなるエピゲノム調節ネットワークに倣って、エピジェネティック・マークN6-メチルアデニン (m6A)のwriterとreaderからなる人工エピジェネティックスを設計・作出し、ヒトHEK293FT細胞においてその機能を実証した。
  • 本研究はまた、動物では稀なエピジェネティック・マークm6A (参考論文*参照)を利用した人工エピジェネティクスが、脊椎動物全般に見られるシトシンの5位のメチル化 (5mC)に基づく内在エピジェネティクスと直交する (相互干渉しない)とした研究チームの仮説が成立し、内在エピジェネティクスに新たなエピジェネティクスの階層を付加することが可能になったことを、意味する。
合成モジュールと機能 (2018-12-11追記 "Cell at CellPressからの関連ツイート"参照)
  • イニシエータモジュール(synthetic initiator module, synI):ヒトゲノムに組み込んだレポーター遺伝子座の20-bpの長さの合成DNA配列 (binding sequence, BS) を認識しGATCモチーフのアデニンをメチル化;BS結合ドメインを帯びたジンクフィンガー (ZF)タンパク質とE. coli DNAアデニン・メチル基転移酵素Damのwriterドメインで構成;アブシン酸ABI1 とその受容体PYL1の結合を利用した誘導可能なsynlさらに、BS-ZFをsgRNA-dCas9に替えたsynlも開発して可用性を拡大
  • 読み出しモジュール (readout module, synR):メチル化GATCを認識するStreptococcus pneumoniae DpnI由来のreader domain (RD)と転写エフェクタードメイン (EDs:転写活性化ドメインVP64または転写抑制ドメインKRAB)で構成
  • 読み書きモジュール (read-write module, synRW):すでに存在するm6Aマークを認識し近位のGATCモチーフへとメチル化を伝搬させる;Dpnl m6A RDDam writerドメインで構成;多重なGATCを組み込んだレポーター遺伝子座で検証;dCas9版synIにより、両方向への伝搬も実現;synRWを介してエピジェネティク・メモリーも実現
*) 参考文献:マウスES細胞におけるm6Aの存否を巡る論文
Cell at CellPressからの関連ツイート