[出典] "Prioritisation of oncology therapeutic targets using CRISPR-Cas9 screening" Behan FM, Iorio F [..] Yusa K, Garnett MJ. bioRxiv. 2018-12-20. Nature 2019-04-10. (crisp_bio: 本記事はbioRxiv投稿版に基づいています。NatureではタイトルがPrioritization of oncology therapeutic targets using CRISPR-Cas9 screeningに変更された);データセット提供Webサイト:Project Score https://score.depmap.sanger.ac.uk/ (下図はWebサイトのトップページの画面キャプチャ)project score
  • 肺、大腸、胸部、卵巣、膵臓などの12種類の組織にわたる204種類の癌細胞株*における18,009種類の遺伝子を標的として、ゲノム・スケールのCRISPR-Cas9スクリーンにより、癌細胞のフィットネス (癌細胞の成長または生存)に必要な遺伝子(以下、fitness genes (FG))を、コピー数による偏りを補正するなど高精度で選別 (* 98%は、Genomics of Drug Sensibility in Cancerの細胞株のパネルから;データ査定後、197種類の細胞からのスクリーン結果をもとに解析)。
  • FG数の総数は6,830、細胞株ごとのFG数の中央値は1,413であり、FGはコンテクスト (細胞株)に依存し、全ての癌細胞株に共通なFGs(以下、pan-cancer core fitness (CF) genes)と、特定の癌細胞株に特有なFGs (以下、cancer-type CF genes)が存在する。
  • CRISPR-Cas9スクリーン結果の解析結果にバイオマーカ(SNVs, CNVsまたはマイクロサテライト不安定性)および患者の腫瘍における体細胞変異の頻度との相関を加えて、標的としての優先度を示すスコア(0-100)を定義し、閾値(pan-cancerで52.6; cancer-type specificで45.23)より高いスコアの遺伝子497種類を優先標的遺伝子とし、さらに、スコアに影響を与えた要因の評価に基づいて、A、BおよびCの3クラスに分類した。例えば、PIK3CAは、乳癌、肺癌、大腸癌および卵巣においてクラスAに分類され、PIK3阻害剤はPIK3CA変異癌の治療薬として臨床試験が進んでいる。
  • さらに、各遺伝子に対する低分子や抗体による創薬のしやすさ(tractability)を、(前)臨床試験薬、特許文献、構造情報、低分子の結合親和性、抗体のアクセサビリティーなどの情報に基づき10段階で評価し、3グループに分類し、各グループごとに創薬標的としての適合性を議論した。
  • クラスAかつtractability第2グループに属したウェルナー症候群のRecQ様ヘリカーゼをコードする遺伝子に注目し、スコア付の際にマイクロサテライト不安定性との相関が高かったことを手掛かりに、関連情報を集約し、 RecQヘリカーゼがマイクロサテライト不安定性が高い癌に対する有望な治療標的であると判定した。