[出典] "Epigenetic editing by CRISPR/dCas9 in Plasmodium falciparum" Xiao B [..] Jiang L. PNAS. 2018-12-24

 CRISPR/Cas9技術によって、相同組み換え効率が低くRNAiが欠損している熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の機能ゲノミクスが進み始めていたが、中国科学院大学 (上海)、上海科技大学、サウスフロリダ大学ならびにNIAIDの研究チームは今回、ヒストンアセチル転移酵素 (HAT)またはヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC)を融合したCRISPR/dCas9によるエピゲノム編集を介して、これまでになく効率的かつ特異的に標的遺伝子発現を調節可能なことを示した。
  • P. falciparumのHAT、PfGAN5、の活性部位を融合したエピジェネティック活性化システムCRISPR/dCas9-GCN5と、P. falciparumのHDAC、PfSir2a、のコーディング領域を融合したエピジェネティック・ノックダウン・システムCRISPR/dCas9-Sir2aを構築。
  • P. falciparumの赤血球侵入に重要な網状赤血球結合タンパク質 (reticulocyte binding protein homolog 4, rh4)と赤血球結合タンパク質 (erythrocyte binding protein 175, eba-175) の転写開始領域のアセチル化と脱アセチル化によって、それぞれ、rh4の活性化とeba-175の抑制を実現。
  • CRISPR/dCas9-Sir2aを利用し、P. falciparum必須遺伝子PfSET1の発現を抑制することで、PfSET1がその標的遺伝子群の発現抑制ひいては栄養体と分裂体においてP. falciparumの成長に与える影響の解析を実現。