1. DNA複製の時空間制御を担うシスエレメントを同定
[出典] "Identifying cis Elements for Spatiotemporal Control of Mammalian DNA Replication" Sima J [..] Gilbert DM. Cell. 2018-12-21. (bioRxiv 2018-03-21)
  • DNA複製の時間的制御である複製タイミング (replication timing [RT])がゲノム構造に決定的な影響を与える。RTが発生時に切り替わっていく400-800 kbの長さのドメインは複製ドメイン (replication domains [RDs])と呼ばれ、Hi-C法で同定されるAコンパートメントとBコンパートメントおよびTADs (topologically associating domains)は、RSsと境界が一致するとされている。
  • Florida State Universityをはじめとする米独の研究グループは、CRISPR技術により、マウスES細胞において多能性と相関するTADを削除または反転させる実験から、RTを制御する機構を探り、以下の結論を得た:CTCFと相関するドメインの境界は、RTには必ずしも必要ではない;CTCF欠損はTADの境界を弱体化するが、RTまたはA/Bコンパートメント化に影響しない;TAD内のCTCFに依存しない3ヶ所のシスエレメント (early replication control elements [ERCEs])こそが、早期複製、コンパートメント化、クロマチンの局所的構造、および転写に影響を与える。
  • 関連crisp_bio記事:2018-10-16 CRISPR/Cas9によるCTCF結合サイトの編集から見えてきたこと
2. HDRに依らずNHEJを介して多倍体細胞での遺伝子完全破壊を実現
[出典] "Homology-independent multiallelic disruption via CRISPR/Cas9-based knock-in yields distinct functional outcomes in human cells" Zhang C, He X [..] Chan WY, Feng B. BMC Biol. 2018-12-028.
  • CRISPR-Cas9を利用して、プロモーターを必要としない二重の蛍光レポーターをタンパク質コーディング・エクソンに同時にノックインし、標的遺伝子が完全に破壊された細胞集団を分離する手法を開発し、LO2細胞で検証 ;4アレルのULK1遺伝子、3アレルのFAT10遺伝子、および、CtIP遺伝子の両アレルを破壊した。
  • ULK1FAT10の遺伝子破壊細胞では、それぞれの転写物とタンパク質が欠損したいた。一方で、CtIPの両アレル破壊細胞では、インフレームの異常なCtIP転写物とタンパク質が存在し、これは、DNAプロセッシングの多様性と選択的スプライシングに起因することが示唆された。
  • NHEJを介したノックイン関連crisp_bio記事:2017-05-06 非相同末端結合(NHEJ)によって、in vivo で非分裂細胞に外来遺伝子をノックインCRISPR関連文献メモ_2016/02/13 - 4.  [論文] 非相同末端結合修復(NHEJ)機構によるヒト細胞への効率的レポーター遺伝子ノックインを実現
3. Enterococcus faecalisは"CRISPR寛容"により水平移動を介した遺伝子獲得を最大化する
[出典] "An Attenuated CRISPR-Cas System in Enterococcus faecalis Permits DNA Acquisition" Hullahalli K, Rodrigues M, Nguyen UT, Palmer K. mBio. 2018-05-01.
  • 極めて活性な接合性プラスミドを備えているE. faecalisは、遺伝子水平伝播と抗生物質耐性の相関解析のモデル微生物である。UT Dallasの研究チームは、E. faecalisにおいてCRISPR-Casシステムに標的されたMGEsが一時的に維持される"CRISPR寛容"の現象を発見していたが、今回、自身の染色体を標的とするCRSIRP-Casシステムの作用を解析することで、CRISPR寛容が、cas9の発現抑制に由来することを同定した。
4. T4エンドヌクレアーゼVIIの知見を生かした経験的原子価結合法によってCas9の触媒活性機構を探る
[出典] "Exploring the catalytic mechanism of Cas9 using information inferred from Endonuclease VII" Yoon H, Zhao LN, Warshel A. ACS Catal. 2018-12-28.
  • 大きなコンフォメーション変化による活性化モデルを提唱
5. 二重sgRNAを利用するCRISPR/Cas9遺伝子編集による遺伝子ノックアウトマウス作出パイプライン
[出典] "Pipeline for the generation of gene knockout mice using dual sgRNA CRISPR/Cas9-mediated gene editing" Ghassemi B, Shamsara M, Soleimani M, Kiani J, Rassoulzadegan M. Anal Biochem. 2018-12-26.
  • Cas9タンパク質と、Hbb-bs遺伝子のエクソン2とエクソン3に特異的な2種類のsgRNAsをコードするプラスミドDNAをマイクロインジェクションすることで、エクソン2と3の欠損率10%と、indel変異効率20%を達成
6. [特許] クラス2タイプVエフェクターとして機能する新規ポリペプチドMmc3の活性とその利用
PubDate 2018-12-20. Indentors Monds RD [..] Moellering ER. Assignee Synthetic Genomics Inc.

7. [特許] 改変gRNAsとCRISPR RNP複合体とその利用法
  • PubDate 2018-12-20. Inventors Carlson-stevermer JM, Saha K, Adbeen AA, Kohlenberg LK. Assignee Wisconsin Alumni Research Foundation.
  • RNAアプタマーとストレプトアビジンをsgRNAに融合する手法S1mplexesをテーマとする特許
  • 関連論文 "Assembly of CRISPR ribonucleoproteins with biotinylated oligonucleotides via an RNA aptamer for precise gene editing" Carlson-Stevermer J, Abdeen AA, Kohlenberg L, Goedland M, Molugu K, Lou M, Saha K. Nat Commun. 2017-11-23
  • 関連crisp_bio記事:CRISPRメモ_2017/11/25 - 2. ビオチン化したssODNをRNAアプタマーを介してCRISPR RNPに結合することで、遺伝子精密編集を実現
8. [特許] CRISPR-Cas9ゲノム編集技術によるCCR5Δ32を誘導 (HIV/AIDSなどの療法として)
  • PubDate 2018-12-20. Inventors 魏民 齐春侠. Assignee 南开大学