2017年11月13日 米国FDA、世界初の'デジタルメディスン (digital medicine)'を承認
[出典] "世界初のデジタルメディスン「エビリファイ・マイサイト (Abilify MyCite®)」 米国承認" 大塚製薬株式会社ニュースリリース. 2017-11-14;"FDA approves pill with sensor that digitally tracks if patients have ingested their medication". FDA News Release. 2017-11-13.
  • 米国FDAは2017年11月13日に初めて、処方薬の服用情報を体外に送信可能とするセンサーを組み込んだ錠剤 (pill)、'デジタルピル (digital pill)'、を承認した。大塚製薬が、自社の抗精神病薬 エビリファイに、米国シリコンバレー企業の一つであるProteus Digital Health (以下、Proteus)が開発したセンサーを組み込んだ製剤、エビリファイ・マイサイト (Abilify MyCite®)*である。
  • デジタルピルの先駆けであるAbilify MyCite®は、センサーが胃酸に反応してシグナルを発し、ウエアラブルパッチである「マイサイトパッチ」が検出し、患者のスマートフォンに送信する。また、患者が了承すれば、インターネット上のポータルサイトを介して介護者や担当医も服用状況を確認できる。
  • こうしたデジタルピルは、抗精神病患者に限らず広く一般の患者の処方薬の飲み忘れを防止し、医療従事者による服用指導にも役立ち、薬剤の放置を防止して医療費の無駄を省くことにもなる 。ただし、服用の強制や患者のプライバシー保護の観点からの懸念が指摘されている。
2019年1月17日 デジタル癌メディスンの治験進行が明らかに
[出典] "Proteus Digital Health® Launches Digital Oncology Medicines to Improve Patient Outcomes" Proteus Digital Health Press release. 2019-01-17.;"A ‘digital pill’ for cancer patients is rolled out for the first time, in hopes of improving outcomes" Robbins R. STAT News. 2019-01-17.
  • Proteus、Fairview Health Servicesおよび University of Minnesota Healthは、1月17日からサンフランシスコで開催されたASCO消化器癌シンポジウム 2019にて、U. Minnesotaの協力を得て、2018年9月から'デジタル癌メディスン (digital oncology medicines)'がステージ3または4の大腸癌患者7人に処方されてきたことを明らかにした。
  • このテストは、エビリファイ・マイサイト開発時と同様に、患者の服用状況を把握することが、患者の投薬アドヒアランスや治療効果に与える影響を検証することが目的である。
  • 患者は、デジタル癌メディスンによって、服用日時、用量および薬剤の種類の情報をオンライン・ポータルサイト上で確認でき、また、医療サービス提供者へ閲覧を許すこともできる。
  • Abilify MyCite®ではセンサーが錠剤に埋め込まれていたのに対して、デジタル癌メディスンでは、センサーと認可薬剤を内包したカプセルを飲む込む方式であるため、FDAの審査を改めて受ける必要はないと見られる。ミネソタでは、服用法が複雑な(*)抗癌剤ゼローダ (カペシタビン)と、取り扱いやすくするためにセンサーを埋め込んだ偽薬を、カプセルに封入している:(注*) 2週間にわたり毎日6~8個のピルを服用し1週間休むセットを8回繰り返す。
  • Proteusは、大腸癌の他の様々な癌患者750人規模の治験を計画している。