(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20141226)
CRISPR-Casシステムはゲノム編集の強力な手段であるが、編集のターゲットとしたサイト以外でのインデル染色体転座が発生するオフターゲット効果が伴う。このオフターゲット効果は、ゲノム編集の対象が非常に大きな細胞集団になる臨床応用においては、極めて低頻度であっても、抑止する必要がある。今回この課題解決に向けて、マサチューセッツ総合病院のJ. Keith Joung等の研究チームは、Cas9を典型とするCRISPR RNAにガイドされるヌクレアーゼ(以下、RGNs)に拠って生細胞中で起きるDNA二本鎖切断(以下、DSBs)をゲノム全域にわたって偏り無く同定する手法、GUIDE-seq(genome-wide, unbiased identification of DSBs enabled by sequencing)、を開発した。
  • Cas9を含む13種類のRGNsの2種類のヒト細胞株(骨肉腫細胞U2OSとヒト胎児腎細胞HEK293)におけるオフターゲット効果をGUIDE-seqによって解析し、オフターゲット効果がRGNsに依存する多様な現象であることを見出した。また、オフターゲット・サイトの配列の特徴を分析した。
  • GUIDE-seqは、不活性なCas9(dCas9)を対象としたChiP-seqならびに2種類の予測プログラム(MIT CRISPR Design ToolE-CRISP)では検出されなかったオフターゲットサイトを多数同定し、また、RGNsに依存しないゲノムブレイクのホットスポットを同定した。
  • さらに、ヌクレアーゼをターゲットへガイドするRNA(gRNA)を、ターゲット配列に相補的な全長からトランケートしたtru-gRNAsに置き換えることによって、RGNが引き起こすオフターゲットのDSBsを抑制できることを確認した。