(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160508)
  • Corresponding author: Brian Kuhlman (University of North Carolina at Chapel Hill)
  • これまでコンピュータ設計によって、コイルドコイル、反復、TIMバレル、ロスマンフォールドといった標的的構造単位からなる「理想的」構造のタンパク質が作り出されてきたが、自然界のタンパク質の機能部位はキンク、ポケットあるいはバルジといった「非理想的」構造で形作られている。自然界においてタンパク質は、既存のタンパク質のドメインや2次構造などの構造単位を使い回すことで(挿入、欠失、置換、重複)、新たな構造と機能を有するタンパク質を作り出してきた。Kuhlmanらは、この進化過程に倣って、既知の構造要素を組み合わせるタンパク質設計法SEWING(Structure Extension WIth Native-substructure Graphs)を開発した。
  • SWEINGは、特定のフォールドを作り出すことを指向せず、設計要件を満たす構造の選択肢のセットを生成する。
  • SEWINGで設計したらせん状タンパク質は、これまでのタンパク質のコンピュータ設計では実現できなかった構造上の特徴を有し、その一部は100°C以上でも安定していた。
  • 設計したタンパク質を合成し、その中のCA01とDA05R1の構造を、X線結晶構造解析とNMR解析によって決定したところ、結晶構造が設計モデルとよく一致した。