[出典] "Engineering of high-precision base editors for site-specific single nucleotide replacement" Tan J, Zhang F, Karcher D,  Bock R. Nat Commun. 2019-01-25.
[関連crisp_bio記事] 2020-02-05 BE3の高精度化 (2) - 標的可能領域拡大と位置特異性付加

背景
  • これまでに開発された種々のBEは目的としていない塩基の編集そしてまたは多重塩基の編集を誘導し、標的の選択性が十分でない。例えば、C-to-T BEは4-5 nt (システムによっては9-nt)のウインドウ内のCを変換する。一方で、アルツハイマー病関連遺伝子APOE4やβサラセミア関連HBB遺伝子には、治療標的変異を含むウインドウ内に多重のCsが存在する。このため、BEの臨床応用を目指してウインドウを狭める工夫がされてきたが、未だ、酵素活性の低下や標的配列依存性の課題を伴っている。
成果
  • MPIの研究チームは今回、C-to-T変異を実現するシチジン・デミナーゼBEを対象として、デアミナーゼ・ドメインとCas9ドメインのリンカー配列をシステマティックに改変・評価し、デアミナーゼからBEの活性に不必要な配列を削除することで、ウインドウを狭めて、特定のサイトの単一シチジンだけを高効率で編集する高精度なBEを実現した。
  • 具体的には編集効率を損なうことなく高精度な1塩基編集を、リンカーの長さを固定したBE3-PAPAPAPと、C末端を短縮したウミヤツメ由来のAIDホモログを利用するnCDA1Δ-BE3にて実現した。前者は主として-14から-16のウインドウ内の編集を、後者は主として-18での編集を達成した (APOBEC1またはCDA1をSpyCas9に結合したBE3コンストラクトと、CDA1のC末端削除の効果について、それぞれ原論文Fig. 2とFig. 5を引用した下図左右を参照)。
Fig. 2 Fig. 5
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