(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160513)
  1. [NEWS AND VIEWS] Cpf1を取り上げたNEWS & VIEWS:Malcolm F. White (University of St Andrews)
    • De DongらのCpf1/cr RNA複合体構造解析論文と、Ines FonfaraらのCpf1がpre-crRNAの切断と標的DNAの切断の一人二役を果たすことを明らかにした論文を対象とするNEWS & VIEWS.
    • crRNAが結合していない場合は伸長しているCpf1が、pre-crRNAのOBドメインへの結合をきっかけとしてよりコンパクトな3角形状へと大きくコンフォメーションを変化させるモデルを紹介し、また、Cpf1がモノマーと想定されることから1か所の活性サイトでDNA二本鎖の両ストランドを切断する機構が謎であるとしている。
  2. [プロトコル] eGFPを結合したdCas9によって生細胞中で遺伝子座を可視化する:Heinrich Leonhardt (Ludwig-Maximilians-Universität München)
    • gRNA/dCas9-eGFPによってDNA配列を位置特異的にラベルし、超解像顕微鏡を介して、クロマチンの微細構造の観察を可能に。
    • 原著論文:Tobias Anton et al. “Visualization of specific DNA sequences in living mouse embryonic stem cells with a programmable fluorescent CRISPR/Cas system” Nucleus 2014 Mar-Apr;5(2):163-72. Published online 2014 Mar 12.
  3. [プロトコル] CRISPR/Cas9による簡明で効率的なマウス遺伝子編集ー戦略と手法:Michael V. Wiles (Jackson Laboratory)
    • sgRNAの設計と精密なゲノム編集を経たマウス系統の樹立方法をレビュー
  4. [論文] CRISPR-EZ法: CRISPRリボ核タンパク質の接合子へのエレクトロポレーションによってマウスゲノムを高効率で編集:Lin He (UC-Berkeley)
    • Cas9 DNA/RNAとsgRNAをマイクロインジェクションによって接合子に送達する手法は技術的難度が高く、労力と経費を要する。今回、Cas9/sgRNAリボ核タンパク質(RNPs)を接合子へエレクトロポレーションする手法、CRISPR RNP Electroporation of Zygotes(CRISPR-EZ)、を開発。
    • CRISPR-EZ法のゲノム編集の効率は高く、ゲノム編集した胚の生存率も高い。
    • CRISPR-EZ法によりマウスにおいて、INDELs、点変異、大規模な欠損および小規模な挿入を実現可能であり、チロシナーゼ(Tyr)遺伝子を標的として、両アレル編集の効率88%とHDR経路による精密な配列改変の効率42%を達成。
  5. [レビュー] 高等植物における標的変異、遺伝子置換および遺伝子スタッキング:Michael Ayliffe (CSIRO Agriculture)
    • シロイヌナズナから作物やポプラまで高等植物へのCRISPR/Cas技術の適用の現状をレビュー;GMO規制との関連も議論