(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160515)
  • Francisco J. Quintana (Brigham and Women's Hospital, HMS)らは今回、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルマウスと多発性硬化症(MS)患者由来のサンプルにおいて、I型インターフェロンと腸内菌叢によるトリプトファン代謝物が協働して、アリール炭化水素受容体(AHR)シグナル伝達を活性化し、アストロサイトの活性と中枢神経系(CNS)炎症を調節することを示唆するデータを得た。
    • EAEとMSサンプルのアストロサイトにおいて、IFN-1シグナル伝達関連遺伝子群の発現が亢進。
    • アストロサイトにおけるIFN-1シグナル伝達は、リガンド活性化転写因子AHRとサイトカインシグナル伝達阻害分子2(SOCS2)を介して、炎症とEAE疾患スコアを低減。
    • 経鼻注入したI型インターフェロンの一種IFN-βは、一部AHRを介して抗炎症効果を発揮。
    • EAEマウスの腸内菌叢が、食餌由来のトリプトファンをAHRアゴニストへと代謝し、アストロサイトに影響を与えてCNSの炎症を抑制。
    • 抗生物質アンピシリンを処方するとEAE疾患スコアが上昇するが、トリプトファンの代謝物(インドール、インドキシル硫酸、インドール-3-プロピオン酸およびインドール-3-アルデヒド)または、バクテリアの酵素トリプトファナーゼを補うことで、CNS炎症が低減。
    • MS患者ではAHRアゴニストのレベルが低下している。