(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160518)
  • Corresponding authors: Fabrizio MarcucciRuggero De Maria (Regina Elena National Cancer Institute/University of Milan)
  • 上皮間葉転換(EMT)は胚発生過程で起こり、腫瘍の進行過程で起こる。腫瘍細胞は、EMTによって運動性と浸潤性を得て転移し、細胞死や抗腫瘍剤への耐性を獲得し、免疫を抑制し、がん幹細胞様細胞(cancer stem-like cells, CSCs)として振る舞う。EMTは抗がん剤創薬の格好の標的である。
  • 腫瘍細胞にEMTを誘導する要因を俯瞰し、EMT阻害剤のスクリーニング(EMT誘導を阻害する低分子;間葉上皮移行(MET)を亢進する低分子;間葉系腫瘍細胞を標的とする低分子)に触れ、EMT阻害剤のクラスごとの長所と短所を論じ、今後の課題を考察。
    • EMT阻害法の分類:腫瘍微小環境からのストレスへの応答を阻害;腫瘍間質などの細胞外メディエータとその受容体の阻害;細胞内シグナル伝達経路の阻害または活性化;EMTを間接誘導する転写因子の阻害;EMTを直接誘導する転写因子の阻害;その他(miRNAの誘導または阻害;エピジェネティック変化に作用する低分子)
    • 治験進行中EMT阻害剤の標的分子:DLL4;Notch2/Notch3;Frizzled receptors;PI3K/mTOR;STAT3;TAZ;FAK;AXL