(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160520)
  • Corresponding author: Ingo H. Greger (MRC Laboratory of Molecular Biology)
  • 神経伝達とシナプス可塑性の中核を成すAMPARs(AMPA-type glutamate receptors)は主として、GluA1からGluA4までの4種類のサブユニットのヘテロマーとして存在する。今回、AMPARヘテロマーの構造が既報のGluA2ホモマーと著しく異なることが明らかになった。
  • GluA2/3受容体とGluA2/4受容体のN末端ドメイン(NTDs)のX線結晶構造解析から、4つのサブユニットが中央軸の周りに交互に配置されていることが明らかになった。システイン架橋によって、この構造がNTDsに限らず受容体全長について成立していることを確認。
  • GluA2/3受容体の構造をクライオ電顕で解析し、前項の知見を参照しつつ、リガンドが結合していない状態について、2種類のモデル(モデル1(EMD-8090/PDB 5IDE)とモデル2(EMD-8091/PDB 5IDF))を再構築したところ、Glu2Aホモマーに対比して、縦方向に大きく圧縮され、NTDsとリガンド結合ドメイン(LBD)が密接に結合していることが明らかになった(挿入図参照)。
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  • モデル1は静止状態に相当、モデル2は脱感作状態に相当し、GluA2/3受容体のアポ構造が2状態の間を遷移することを意味している。
  • コンフォメーション遷移のシミュレーションを行ったところ、縦方法の圧縮と、NTDがN型とコンパクトなO型の間へと遷移することが相関することが示唆された。NTDとLBDの近接を介して新奇基質へのアロステリック応答が起こると見られ、また、AMPARはNTDを介してクラスタを形成することからN型/O型の遷移がシナプス可塑性に関与すると思われる。