(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 20160521)
  • Corresponding author: Mihai G. Netea (Radboud University Medical Center)
  • 免疫記憶は古くは獲得免疫系に存在し自然免疫系には存在しないとされていたが、近年、再感染に対してT細胞とB細胞に依存せず自然免疫系の応答をもたらす自然免疫記憶(innate immune memory/trained immunity)の存在を示す実験データが蓄積されてきた。
  • 自然免疫記憶は、クロマチンの再配置を伴うヒストン修飾を中心として、DNAメチル化やmiRNAの改変およびまたはlncRNA発現の関与によって形成され、獲得免疫記憶と異なり非可逆的な変異や組み換えには依存しない。
  • レビューの構成
    • 免疫システムの古典的二分類 - 自然免疫と獲得免疫
    • 自然免疫における記憶 - ドグマへの挑戦:植物における現象;非脊椎動物における現象;脊椎動物における現象
    • Trained Immunityの特徴
    • Trained Immunityを誘導する機構
    • 実験事実が積み重ねられてきたがTrained Immunityの概念はまだ幼少期にあり、不明な点や期待される点が多々存在する:免疫応答の特異性と非特異性;初回の感染あるいはワクチン接種後;trained immunityが保たれる期間;ワクチンへのtrained immunityの関与およびtrained immunityを利用したワクチンの開発;
  • [関連資料] 2015年3月にWellcome Trust Genome Campusにて開催された自然免疫記憶会議報告:M. G. Netea et al. “Innate immune memory: a paradigm shift in understanding host defense” Nature Immunology 2015 Jul;16(7):675-785.