[出典] "A neuron-optimized CRISPR/dCas9 activation system for robust and specific gene regulation." Savell KE [..] Day JJ. eNeuro. 2019-02-25.
概要
概要
- University of Alabama at Birminghamの研究チームは今回、神経細胞特異的プロモーター (ヒトのシナプシン)のプロモータを利用することで、ラット神経細胞においてCRISPRa (dCas9-VPR)による十分な遺伝子発現活性化を実現した。
In vitro実験
- ラットの大脳皮質、海馬および線条体由来の初代神経細胞において、遺伝子のクラスやサイズに左右されない遺伝子発現活性化を確認した。また、多重sgRNAsによる単一遺伝子の相乗的な発現活性化や、異なる一連の遺伝子の発現を同時に活性化することも確認した。また、VPRを転写抑制因子KRABに替えたCRSIRPi (dCas9-KRAB)による発現抑制も、転写開始点近傍を標的とすることで可能なことを確認した。
- シナプスの可塑性、学習および記憶に関与する重要な因子であり複雑な転写調節を受ける脳由来神経栄養因子 (Brain-derived neurotrophic factor, BDNF)をモデルとして、特定の転写物を選択的に上方制御することが可能なことを示した。BDNFは、9種類の5'ノンコーディング・エクソン (I-IXa)と、単一のコーディング・エクソン (IX)で構成されている (原論文Figure 3引用下図の a 参照)。
I-IXaにはそれぞれの上流に独自のプロモーター領域が存在することから、プロモーターの組み合わせによって多様な転写物が生成される。研究チームは、Bdnf IとBdnf IVを標的とするsgRNAによってそれぞれの転写物を独立に上方制御可能であり、また、双方のsgRNAを併用することでBdnf IX転写物を相加的に上方制御されることを示した (上図 b-d 参照)。
In vivo実験
- CRISPRaをレンチウイルスにより成体ラットの前頭前皮質、海馬および側坐核に注入し、選択的な遺伝子発現活性化を実証した。
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