(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/27)
  • Corresponding authors: Jan P. DumanskiLars A. Forsberg (Uppsala University)
  • 血球におけるY染色体欠損(loss of chromosome Y, LOY)の頻度が加齢とともに増加することが知られている。すなわち、LOYモザイク現象(LOY mosaicism)が加齢と共に広がっていく。研究チームはこれまでコホート研究によって、LOYモザイク現象と平均余命と固形がんのリスクが相関すること(Nature Genetics 2014)、および、喫煙とLOYモザイク現象が相関すること(Science 2015)を、見出してきた。
  • 研究チームは今回、European Alzheimer’s Disease Initiative (EADI)、Uppsala Longitudinal Study of Adult Men (ULSAM)ならびにProspective Investigation of the Vasculature in Uppsala Seniors(PIVUS)由来の3,218人のコホートの解析から、LOYモザイク現象とアルツハイマー病(AD)発症のリスクが相関していることを見出した。
    • 症例対照研究:ADと診断された男性606名においてLOYが有意に増加していた。
    • 前向き研究:血液検査でLOYが顕著に見られた男性は、その後の追跡調査で、AD発症のリスクが有意に高いことが判明した。
  • LOYは、遅発性・散発性ADのリスク因子であり、AD発症のバイオマーカーとして利用可能である。