(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/28)
  1. [論文] CRISPRの最適標的を予測し可視化するWebサービス“CT-Finder ”
    • Corresponding author: :Chun Liang (Miami University)
    • CRISPRシステム応用にあたってゲノム編集の精度と効率が課題である。CT-Finder は、高精度なゲノム編集を行うために最適な(オフターゲット編集を最小限にとどめる)gRNAの設計を支援する“CRISPR Target Finder”である。
    • CT-Finder は、3種類のCRISPR/Cas9システムに対応した初めてのgRNA設計支援システムである:
      • 単一gRNAとCas9のオリジナルのCRISPR/Cas9システム
      • 近接する2箇所を標的とする2種類のgRNAと、2つのCas9 (D10A)ニッカーゼとを組み合わせるシステム
      • 14〜17ntの間隔の2箇所を標的とする2種類のgRNAと、2つのC末端に制限酵素FokIを結合したdCas9(Cas9の2つのヌクレアーゼを不活性化(D10A; H840A)を組み合わせるシステム(以下、RFNシステム)
    • 他のツールに比較して、CT-Finder は広汎なパラメーターの設定が可能であり、また、結果をブラウザー上で確認可能。
    • CT-Finder Web サイト:Optimal Target Prediction and Visualization for Genome Editing with CRISPR/Cas Systems
  2. [論文] CRISPRiによるBacillus subtilis 必須遺伝子の網羅的機能解析 
    • Corresponding authors: Lei S. Qi (Stanford U.)Kerwyn Casey Huang (Stanford U.)Carol A. Gross (UCSF)
    • Qiらが2013年に発表したCRISPRiを利用してB. subtilis の必須遺伝子を効率よくかつ精密にノックダウンすることから、必須遺伝子ネットワーク、抗生物質の作用機序、細胞の成長と形態の決定因子を同定した。本手法は、バクテリア全般について必須遺伝子のハイスループットでの機能解析を可能にする。
      • キシロース誘導性プロモーター(Pxil )配下のS. progenies dcas9 と、強力で恒常的プロモーター(Pveg)配下のsgRNAsを、それぞれ、lacA 遺伝子座と、amyE またはthrC遺伝子座に導入。289種類の既知あるいは推定必須遺伝子を標的とするsgRNAライブラリーを用意し、dCas9の発現をキシロースの濃度で調節。
      • CRISPRiを介したケミカルゲノミクスによって特性が不明な化合物の直接の標的を同定。
      • 化合物に対する応答の相関から、細胞壁生合成プロセスや細胞分裂プロセスなど既知のプロセスおよび新奇プロセスに対応する必須遺伝子ネットワークを同定。
      • 細胞形態のスクリーニングから、細胞成長と形態を調節する遺伝子群を同定。