(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/31)
  • Corresponding authors: Qiang Zhou; Nieng Yan (清華大学)
  • ライソゾーム病の一種であるニーマンピック病C型は、NPC1 遺伝子またはNPC2 遺伝子の変異によって引き起こされる。それらの遺伝子産物であるタンパク質のNPC1とNPC2は、小胞とリソソームにおいて低密度リポタンパク質誘導コレステロール(LDLコレステロール)の輸送を担う。NPC1はまたエボラウイルス(EBOV)に対する細胞内受容体でもある。
  • 今回、クライオ電顕単粒子再構成法によって、分子量〜140kDaのNPC1全長の構造と、NPC1とカテプシンで切断されたEBOV糖タンパク質の断片(EBOV-Gpcl)との複合体構造を、それぞれ、4.4 Åと6.6 Åの分解能で再構成した。
  • NPC1は13本の膜貫通セグメント(TMs)と3種類の内腔ドメイン(A(NTD);C;I)で構成されていた。配列解析からNPC1のTMs2〜13はバクテリアの多剤排出ポンプAcrBを代表例とするRND(Resistance-nodulation-cell division)スーパファミリーに属することが示唆されが、TMsのうちTMs3-7は、HMG-CoAレダクターゼSREBP (sterol regulatory element-binding protein) などのコレステロール代謝制御に関与するタンパク質間で保存されているステロールセンシングドメイン(SSD)を構成していた。
  • 構造解析ならびに生化学的解析の結果に基づいて、NPC1のNTDとCドメインがNPC2結合の足場となり、コレステロールがNPC2からNPC1に渡されるモデルを提唱した。
  • 表面プラズモン共鳴法とクライオ電顕単粒子再構成法により、EBOV-GPclは三量体としてドメインCを介してNPC1単量体に結合していることを明らかにした。
  • [情報拠点注] 2016/05/31時点で、EMデータとPDBエントリー全て公開待ち