(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/05/31)CRISPR関連文献メモ_2016/05/31(1件)
  • Corresponding authors: Alexander F. Schier (Harvard U/Broad); Jay Shendure (U. Washington, Seattle)
  • 色素、レポーター遺伝子などのマーカあるいは細胞分裂などを利用するこれまでの細胞系譜の解析手法では、複雑な多細胞生物の発生過程における細胞系譜の網羅的解析を実現できなかった。これを実現するためにマーカが満たすべき3要件を洗い出し、3要件を満たす手法を開発した。
  • 3要件
    • 細胞固有かつ細胞分裂の過程で順次付加され、正常な発生過程には非干渉
    • マーカの蓄積が非可逆的
    • 大規模な細胞群の個々の細胞について容易に読み出し可能
  • 3要件を満たす手法としてGESTALT(Genome Editing of Synthetic Target Arrays for Lineage Tracing)法を開発 (Structured Abstract内の図参照)
    • GESTALTでのマーカは、CRISPR/Cas9の一連の標的配列を3 bpのリンカーで連結した短いDNAからなるCRISPR/Cas9アレイである。このCRISPR/Cas9アレイに細胞増殖や細胞分化の過程で順次Cas9によって変異を順次導入していくことで、CRSPR/Cas9アレイが、細胞系譜の情報を蓄積しまたシーケンシングで容易に読み出せる細胞固有の“バーコード”となる。
    • 培養細胞とゼブラフィッシュで実証実験
      • 細胞系譜解析の手がかりを与えるバーコードのパターン(論文中では“barcode allele”)数千種類を同定
      • ゼブラフィッシュ個体から数百から数千の細胞をサンプリングして解析したところ、成体臓器のほとんどの細胞が、比較的少数の胚性前駆細胞由来であった。例えば、4月齢のゼブラフイッシュの血液細胞の98%に見られたbarcode allelesは、1,138 barode allelesの内のわずか5 barcode allelesであった。
  • GESTALTは、多細胞生物を対象として正常発生に加えて疾患につながる異常発生における細胞系譜の解析にとどまらず細胞分裂が関わるあらゆる細胞過程の解析に展開可能である。