[出典] "Functional linkage of gene fusions to cancer cell fitness assessed by pharmacological and CRISPR/Cas9 screening" Picco G, Chen ED [..] Garnett MJ. bioRxiv. 2019-02-24.
  • 腫瘍細胞に高頻度で見られる遺伝子融合は、癌治療における診断と予後のバイオマーカおよび治療標的になり得るが、ほとんどの融合遺伝子の機能が不明である。
  • Sanger Institute, EMBL, MGH (Boston), GSKなど英米独の研究グループは今回、Genomics of Drug Sensitivity in Cancer (GDSC) プロジェクトの一環として、RNA-seqにより41種類の腫瘍型を網羅する1,011種類の癌細胞株由来の1,034サンプルにおける遺伝子融合8,354件を同定し(原投稿Figure 1引用下図左参照)、遺伝子発現の変動、350種類を超える抗癌剤に対する感受性、およびゲノムワイドCRISPR-Cas9 'loss-of-fitness'スクリーンによる網羅的機能同定を試み、癌細胞のフィットネス (生存・増殖)に必須の遺伝子融合を、Fusion Essentiality Score (FES)を定義・算定し、同定した (原投稿Figure 4引用下図右参照)。
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  • 同定結果は、これまでに確認されていた癌の病因となる遺伝子融合を含んでいたが、全体として、癌ドライバー遺伝子を含んで癌細胞のフィットネスに必須な遺伝子融合は稀であった。
  • 一方で、これまで知られていなかった組織における癌治療の標的となりえる遺伝子融合 (RAF1, BRD4およびROS1 が関与)を発見した。また、繰り返し発生するYAP1-MAML2融合が、多くの腫瘍型において、宿主の腫瘍免疫を抑制するヒッポ (Hippo) シグナル伝達を活性化することを発見した (原投稿Figure 5/6の一部引用下図参照)。2019-03-01 11.31.41
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