5. 腫瘍微小環境でCas9を活性化
[出典] "Microenvironment-Responsive Delivery of the Cas9 RNA-Guided Endonuclease for Efficient Genome Editing" Yin J, Hou S, Wang Q, Bao L, Liu D, Yue Y, Yao W, Gao X. Bioconjug Chem. 2019-02-25.
  • Cas9にdithiocyclopeptideをリンカー (linker)としてスーパーチャージド・ポリペプチド (supercharged polypeptide, SCP)を融合したCas9-linker-SCPは、in vitroでgRNAと正に帯電した複合体を形成し、細胞内へ送達可能。
  • 腫瘍微小環境において、マトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP-2)感受性配列と分子内ジスルフィド結合を含むdithiocyclopeptideリンカーがCas9-linker-SCPから完全に外れ、遊離したCas9タンパク質は融合しておいたNLSによって細胞核へと移動し、dithiocyclopeptideリンカーをもたないCas9-SCPよりも高いindels誘導効率を示す。
  • Cas9-linker-SCPはまた有意な細胞毒性を示さず溶血作用も最小限であった。
  • 関連crisp_bio記事:2018-11-12 CRISPRメモ_2018/11/12 [第1項] 哺乳類細胞へのタンパク質送達に有用なスーパーチャージド (supercharged)ポリペプチド (SCP)
6. CRISPR-dCas9技術とAPEX2の近接依存ラベリングを組み合わせて、クロマチンと生体分子との間の局所的相互作用の解析を実現
[出典] "Determination of local chromatin interactions using a combined CRISPR and peroxidase APEX2 system" Qiu W [..]  Liu Y. Nucleic Acids Res. 2019-02-26.
  • 復旦大学 ならびにShanghai Institute of Materia Medicaの研究グループが、クロマチンと特定の部位で相互作用するDNAs, RNAsおよびタンパク質を同定することを目的として、CAPLOCUS (Combining CRISPR and peroxidase APEX2 system to identify local chromatin interactions)を開発した (原論文Figure 1引用下図参照)。 CAPLOCUS 2019-03-03
  • CAPLOCUSにより、ヒトのテロメア、第13染色体の反復配列領域、第11番染色体上の単一コピー遺伝子座2種類の効率的分離・濃縮を実現した。また、CAPLOCUSに続くハイスループットシーケンシングによる長距離間相互作用する領域の同定、RNA-seqによるテロメア結合RNAsの同定、およびウエスタン・ブロッティングと質量分析によるテロメア結合タンパク質の同定も実現した。
関連crisp_bio記事
  • CRISPRメモ_2018/05/08 - 1 [第2項] dCas9-APEXによる遺伝子座特異的プロテオミクス'GloPro' (タンパク質間相互作用);[第3項] dCas9-APEXによる特定の遺伝子座におけるプロテオミクス'C-BERST'(タンパク質間相互作用)
  • 2018-11-30 新たな近接依存性標識法"Proximity-CLIP"によるRNA-タンパク質結合とRNA局在化の精密解析
  • 2018-08-24 新たな近接依存性標識法"TurboID"によるPPI解析
  • 2018-08-24 新たな近接依存性標識法"PUP-IT"によるPPI解析
  • 2017-08-26 dCas9ビオチン化によるCAPTURE法を開発し、シスエレメントを捉えた
7. CRISPR/CasでmiRNA-744をノックアウトすると、CHO細胞からの抗体価が向上する
[出典] "CRISPR/Cas9-mediated knockout of microRNA-744 improves antibody titer of CHO production cell lines" Raab N [..] Otte K. Biotechnol J. 2019-02-25.
  • 抗体医薬の開発・製造に活用されているCHO細胞には、その効率を阻害するmiRNAsが多数存在する。
  • University  of  Applied  Sciences  Biberach, Austrian Center of Industrial Biotechnologyなどドイツとオーストリアの研究グループは今回、先行研究のmiRNAスクリーンで生産性向上の標的と示唆されたmiR-744のCRISPR/Cas9 KOが、バッチ培養において、抗体力価をコントロールの156 mg/Lから190-311 mg/Lへと向上させることを示した。
8. CRISPR/Cas13aを利用してジャガイモにウイルス耐性をもたらす
[出典] "Generation of virus-resistant potato plants by RNA genome targeting" Zhao X [..] Nice B, Zhang J. Plant Biotechnol J. 2019-02-25.
  • クラス2タイプVIのエフェクタCas13aはRNAを標的とする。Hubei UniversityとHuazhong Agricultural Universityの中国研究グループは、Cas13aによりジャガイモウイルスのうちPotato virus Yイタ (PVY)に対して選択的な耐性を示すジャガイモを作出した。耐性は、Cas13a/gRNAコンストラクトの発現レベルと相関した。