(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/06/03)
  • Corresponding author: Ning Jiang (University of Texas at Austin)
  • 新たなアッセイ法iTAST(in situ TCR affinity and sequence test)を開発
    • MHC分子とペプチド断片の複合体(以下、pMHC)の多量体であり、極めて微量なCD8陽性T細胞を抗原特異的に標識可能とするストレプタマー(streptamers);2次元TCR親和性測定のためのマイクロピペット接着アッセイ;単一細胞TCRシーケンシング
    • ヒト血液サンプルからCD8陽性ストレプタマー (streptamer)陽性T細胞を磁気ビーズで濃縮し、FACSを経て、ストレプタマーを遊離し、マイクロピペットアッセイを利用して2DTCR親和性測定を行い、あらかじめ設定しておいた分子バーコードを利用してTCRのα鎖とβ鎖を増幅しシーケンシグへと進む。親和性測定はpMHCクラスIアレル、HLA-A2について行ったが、CD8分子と非特異的に結合するHLA分子のα3ドメイン内に変異を導入しておくことで、CD8陽性初代T細胞とストレプタマーとの非特異的結合は無視できる程度まで抑制されていた。
    • iTASTに必要なサンプルは1回の血液採取から調整可能であり、アッセイのスループットは1日に〜75細胞に達する。
    • 単一細胞をアッセイするiTASTの精度が、表面プラズモン共鳴法、通常の2次元TCR測定法および CD8陽性T細胞活性と整合することを確認
  • 実証実験
    • 健常人由来の血液中のC型肝炎ウイルス特異的CD陽性T細胞のナイーブレパトアをiTASTで解析
    • TCRの抗原親和性が年齢に依存し、その変域が1000倍に及ぶことを見出した。若年者に比べて老齢者では高親和性TCRが減少していた。
  • 今後の展開
    • 養子免疫療法への応用(高親和性TCRsを短時間で選別可能に)
    • 免疫応答のモニタリングへの応用