• Corresponding author: Ruedi Aebersold (ZTH Zurich); Johan Auwerx (Interfaculty Inst. Bioengineering, EPFL)
  • GWASによって種々の表現型に相関する膨大な数の遺伝子座が同定されたが、複雑な表現型を決定づける遺伝因子群の多くは未だ不明であり、その解明は、遺伝子から表現型に至る多層な階層的データとその統合的解析から進めていくことになる。
  • 近年、SWATH(sequential window acquisition of all theoretical fragment ion spectra)-MSを含む質量分析法の進歩によってプロテオミクスとメタボロミクスについても高品質なデータを入手可能になってきたところ、今回、肝臓ミトコンドリアを対象とする多層オミクス(-omics)の融合解析“トランスオミクス(transomic approach/integration/analysis)”のケーススタディーを行った。
    • リコンビナント近交系BXDマウス386匹80コホートの代謝、ミトコンドリア機能、ならびに循環器機能を2種類の環境条件で測定。
    • 全例のゲノムと肝臓を対象とするトランスクリプトーム(25,136転写物)、プロテオーム(2,622タンパク質)ならびにメタボローム(981代謝物)データを取得し、ネットワーク解析。
    • 転写物とタンパク質の対応2,600組を同定し、量的形質遺伝子座の85%がその中の転写物またはタンパク質に特異的に影響を与えることを見出した。
    • トランスオミクスによって、個々のオミクスからは見えて来なかった遺伝型と表現型の間の階層的因果関係を見出した。例えば、Cox7a2l の配列変異がタンパク質の活性を変え、ひいてはミトコンドリア呼吸鎖スーパー複合体形成過程を改変することを見出した。
    • また、ミトコンドリアタンパク質と、心拍数、コレステロール合成、ならびに分岐鎖アミノ酸といった複雑な代謝表現型とのリンクも見出した。
    • 本研究は、定量的プロテオーム測定が、トランスクリプトミクス、ゲノミクスおよびメタボロミクスを相補する鍵となって、複雑な形質の解析を前進させていくことを示した。