#crisp_bio注: 2019-03-15に改題し、関連記事へのリンクを追加
[出典] COMMENT "Adopt a moratorium on heritable genome editing" Nature. 2019-03-13.

[概要] crisp_bio注:この概要はコメントの冒頭部分に相当し、コメントではこれに詳細な考察が続く
  • 米国6名、中国4名、ドイツ4名、カナダ、フランス、イタリー、ニュージーランド各1名の18名の専門家が連名で「精子、卵子または胚のDNAを編集し、遺伝的に改変された子を生み出す技術の臨床利用 (以下、臨床・生殖細胞系列編集)を全てに"グローバル・モラトリウム"を求める」コメントを、Nature誌に投稿した (著者一覧文末参照*) 。
  • ここで、"グローバル・モラトリウム"は恒久的全面禁止を求める意ではなく、各国それぞれが自律的に判断することを認めながらも、一定の条件を満たさない臨床・生殖細胞系列編集を承認しないことを自発的に約する国際的な枠組みの確立を意図している。
  • はじめに、臨床・生殖細胞系列編集を一定期間全面禁止し、その間に、臨床・生殖細胞系列編集について、技術、科学、医学、社会、倫理および道徳のすべての観点から議論を尽くし、国際的枠組みを確立する。
  • その後、各国が選択するであろう施策にはいくつかのオプションがある。例えば、およそ30ヶ国が臨床・生殖細胞系列編集を直接あるいは間接にすでに禁止しているが、これらの国々には、モラトリウムを無期限に継続または恒久的に禁止するオプションがある。一方で、各国は、特定の目的に限り、透明な手続きに基づく国内と国際的な評価を経て合意を得た上で、臨床・生殖細胞系列編集を容認するオプションを選択可能である。
  • 著者らは臨床・生殖細胞系列編集のモラトリウムに対して、モラトリウムの対象外のヒトゲノム編集も明確にしている:研究を目的とする生殖細胞系列ゲノム編集について、胚を子宮に移植しないという条件で、モラトリウムの対象外である。また、ヒト体細胞のゲノム編集による治療も、インフォームドコンセントと改変DNAが遺伝しないという条件で、モラトリウムの対象外である。
  • (*) 著者一覧:Eric S. Lander, Françoise Baylis, Feng Zhang, Emmanuelle Charpentier*, Paul Berg, Catherine Bourgain, Bärbel Friedrich, J. Keith Joung, Jinsong Li, David Liu, Luigi Naldini, Jing-Bao Nie, Renzong Qiu, Bettina Schoene-Seifert, Feng Shao, Sharon Terry, Wensheng Wei ならびにErnst-Ludwig Winnacker. (*crisp_bio注: 寄稿者の中にJennifer Doudnaの名は無い)
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