出典
  • "Precise therapeutic gene correction by a simple nuclease-induced double-stranded break" Iyer S, Suresh S [..] Emerson CP Jr, Wolfe SA. Nature. 2019-04-03.
概要
  • University of Massachusetts Medical Schoolの研究グループは今回、微細重複症候群 (Microduplication syndromes)である肢帯型筋ジストロフィー・タイプ2G (limb-girdle muscular dystrophy type 2G: LGMD2G) とハルマンスキー・パドラック症候群タイプ1 (HPS1)の患者由来iPSCsにおいて、SpCas9による二本鎖DNA切断が誘導するマイクロホモロジー媒介末端結合 (Microhomology-mediated end joining: MMEJ)を介して、病因である微細重複に由来するフレームシフトが修復されることを示した。
  • すなわち、微細重複症候群に対して、相同組み換え修復 (HDR)に依存しない遺伝子治療の可能性を示した。HDRは、精密ゲノム編集を可能にする一方で、CRISPR-Casシステムと同時に修復のテンプレートとなるドナーDNAを送達する必要があり、また、多くの細胞型において効率が極めて低いという課題を伴っている。
詳細
  • Z帯を構成するテレトニン (telethonin)をコードしているTCAP遺伝子の微細重複領域の中央付近を標的とするSpCas9によって編集したLGMD2G細胞株由来のiPS細胞のクローン解析は、80%が少なくとも1つの野生型TCAPアレルを帯びており、この修復によってLGMD2G iPS細胞から分化した筋管においてTCAPの発現も回復していくことを、見出した。SpCas9は、HPS1患者由来のBリンパ芽球細胞株のジェノタイプも効率的に修復した。
  • 研究グループは、PARP-1の阻害(*)によってSpCas9による微細重複配列の野生型への修復が抑制されることから、この修復はMMEJ過程を介しているとした (* Shrma S et al. "Homology and enzymatic requirements of microhomology-dependent alternative end joining" Cell Death Dis. 2015Figure 8参照)。
  • SpCas9の他にLbCas12aもMMEJ過程を介して、4 bp - 36 bpの非病原性微細重複を50-90%の効率で解消することを3種類の遺伝子座で確認した。
  • 微細重複が病因である疾患を改めてClinVarデータベース とgnomeADデータベース に基づいて探索し、MMEJ過程を介して修復可能な2-40 bpの病原性微細重複143件を同定し、また、その一部はテイサックス病をはじめとする特定の疾患に高頻度に出現することも見出した。
  • 一連の解析結果とCas9およびCas12aの標的部位を検索可能なWebサイトから公開した。
テンプレートフリーなゲノム編集技術関連crisp_bio記事