(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/20)
  • Corresponding authors: Kutti R. Vinothkumar (MRC Laboratory of Molecular Biology); Judy Hirst (MRC Mitochondrial Biology Unit)
  • 研究チームはクライオ電顕法により2014年にウシミトコンドリア由来の呼吸複合体I(NADH:ユビキノン還元酵素)の構造を分解能4.95 Åで再構成していた(参考図参照)。
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  • 今回は、総体的な分解能4.16 Åで再構成し、バクテリアからヒトまで保存されている呼吸鎖複合体Iの触媒装置であるコアサブユニット14個と哺乳類特有の31サブユニットからなる全てのサブユニット(8,515残基の93%に相当)の配置を明らかにし構造モデルを構築した。
  • コンピュータ解析から、主要なコンフォメーション3種類(class1; class2; class3)を特定、分解能はそれぞれ4.27 Å、4.35 Å、 5.60 Åであるが、領域によってはより高分解能を達成した。これらのコンフォメーション間でのドメインのわずかな動きが、生化学的に明らかにされていた低酸素状態での活性化状態から不活性状態(active-to-de-active)への遷移に、構造基盤を与えることになった。
  • コンフォメーションの遷移をクライオ電顕像のコンピュータ解析によって追跡することで、複雑な反応過程に関する様々な仮説の構造基盤を検証することが可能になってきた。