(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/08/28)
  • Corresponding authors: Justin M. Drake (UCLA/Rutgers-Robert Wood Johnson Medical School); Owen N. Witte (UCLA); Joshua M. Stuart (UCSC)
  • “pCHIPS”は、Phosphorylation-based Cancer Hallmarks using Integrated Personalized Signaturesの意。
  • 前立腺癌の組織入手は困難である。今回、致死性転移性去勢抵抗性(lethal metastatic)前立腺癌(castration-resistant prostate cancer, CRPC)の患者から生前の承諾に基づいて死後短時間で採取した(rapid autopsy)27サンプルを対象として、297種のチロシンリン酸化(pY)ペプチドと、8,051種類のセリンリン酸化/スレオニンリン酸化(pST)を同定し, 前立腺癌細胞と組織のリン酸化プロテオームのデータセット(encyclopedia)データセットを整備し、階層的クラスタリング、GSEA (Gene Set Enrichment Analysis) およびKSEA (kinase-substrate enrichment analysis)を加えた。
  • 転移性CRPCサンプルの遺伝子発現プロファイルを制御する主要なキナーゼを同定し、遺伝子変異と関連づけるデータ解析パイプラインを、TieDIE(Tied Diffusion Through Interacting Events)アルゴリズムを中核として構築した。TieDIEはパスウエイ解析によって疾患に関連するタンパク質と遺伝子の相互作用を同定することを目的として開発されたアルゴリズムである。
    • リン酸化プロテオームデータと遺伝子発現データ(トランスクリプトミクス)にTCGAの変異データを加え、パスウエイデータベースMultinetを参照しながらTieDIEアルゴリズムによってCRPCにおけるパスウエイの統合ネットワークを同定した。
    • リン酸化プロテオミクス、トランスクリプトミクスおよび統合した解析により、MSigDB (Molecular Signatures Database)の特徴的(hallmark)遺伝子セットを参照して、CRPC組織において顕著にエンリッチされている鍵となる残基群のリン酸化を伴う6種類の主要なシグナル伝達パスウエイを同定した。
    • MARINaアルゴリズムやVIPERアルゴリズムも利用した解析によって、マスター転写制御因子群(master transcriptional regulators)、機能的に変異している遺伝子群、および、CRPCで活性化されているキナーゼ群ひいてはドラッガブルなキナーゼ・パスウエイを同定し、オートプシー・サンプルごとに(患者ごとに)の可視化も実現した。
    • pCHIPSをCRPC細胞株にも適用し、癌の薬剤感受性データベースとの整合性も検証した。
  • pCHIPSは、患者の層別化と前立腺癌末期に有効な療法の選択に有用な情報を提供する。
  • pCHIPS Webサーバー: http://disco.soe.ucsc.edu:3000/