(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/11)
  • Corresponding authors: 谷口陽祐;佐々木 茂貴(九州大学)
  • 2本鎖鎖DNAに配列特異的にもう一本のDNA(3本鎖DNA形成オリゴヌクレオチド/triplex-forming oligonucleotide (TFO))と2本鎖DNAの間にG-GC、A-ATおよびT-ATのホモプリン-ホモピリミジン結合が形成されることで反平行3本鎖DNAが配列特異的に形成される。しかし、GCとATそれぞれにおいて塩基対が入れ替わったCGとTAを認識する天然のヌクレオシドは存在せず、3本鎖DNA形成には至らない。
  • 研究チームは今回、CG塩基対を選択的に認識する擬デオキシシチジン(ΨdC)誘導体を設計・合成した。アミノピリジニル基を伴うΨdCは、その上流と下流の塩基のいかんにかかわらずGCに対して高い選択性と親和性を示した。
  • さらに、3メチル-2アミノピリジンΨdC(MeAP-ΨdC)が、HeLa細胞においてテロメラーゼTERT の4つの連続したCGを伴うプロモーターと3本鎖DNAを形成し、TERT の転写を阻害しmRNAの発現量を抑制することを見出した。
  • MeAP-ΨdCは、2本鎖DNAを標的とする人工核酸によって遺伝子発現を抑制可能とするアンチジーン核酸医薬開発への手がかりとして有望である。