# crisp_bio 2019-02-20/21に追記/改訂「Rubicon・オートファジー・老化」論文
[出典] "Suppression of autophagic activity by Rubicon is a signature of aging" Nakamura S, Oba M [..] Yoshimori T.  Nat Commun. 2019-02-19
  • オートファジーの抑制因子Rubiconの発現が線虫、ショウジョウバエおよびマウスにおいて老化とともに上昇;Rubiconをノックダウンすると線虫とショウジョウバエの寿命が延び老化現象が低減し、神経細胞でのノックダウンが寿命に最も大きく影響;Rubiconをノックアウトしたマウスでは、腎臓の間質線維形成が抑制され脳内α-シヌクレイン蓄積が減少;長寿命の線虫とカロリー制限したマウスにてRubicon抑制を同定 (crisp_bio注:Yoshimori (吉森ら)は、以下にあるように、先行研究で、「高脂肪食が肝臓でのRubicon発現上昇を介してオートファジーを抑制することが脂肪肝と誘導」と報告)
(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/21)
  • Corresponding authors: 吉森 保竹原徹郎(大阪大学)
  • 非アルコール性脂肪性疾患(Non-alcoholic fatty liver disease, NAFLD)は、世界的に最も蔓延している肝疾患であり、単純な脂肪症から肝細胞障害を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis, NASH)に至る症状を呈する。このNAFLDでは肝臓におけるオートファジーが抑制されていることが報告されている。
  • 研究チームは今回、Beclin1と相互作用しオートファジーを抑制する(*)因子であるRubicon (**)とNAFLDとの関係性を明らかにした。 
    (*) オートファゴソームとライソゾームの融合を抑制し標的タンパク質の分解を阻害 
    (**) Ribicon = Run domain Beclin-1-interacting and cysteine-rich domain-containing protein
    • 飽和脂肪酸(パルミチン酸)の投与によって、ヒト肝癌細胞株HepG2、マウス正常肝細胞株BNL-CL2、およびマウス初代肝細胞において、Rubiconが過剰発現し、オートファジーが抑制された。また、Rubiconは高脂肪食を与えたマウス肝臓においても過剰発現し、オートファジーが抑制されていた。
    • RubiconをsiRNAで阻害すると、オートファジー活性が復し、パルミチン酸に起因する小胞体ストレス(ERストレス)、細胞死および脂質蓄積が低減した。成体マウスにおいても、Rubiconをノックアウトによって、肝臓の症状が改善し、ERストレスとオートファジー抑制が緩和された。
    • また、NASHの患者由来の肝臓組織においてRubiconの発現が上昇していることも確認した。
    • Rubiconは、NAFLDの治療標的として有望である。