(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/24)
  • Corresponding authors: 外川内亜美(鹿児島大学);白水美香子(理化学研究所)
  • メロン(Cucumis melo L.)由来のククミシン(cucumisinEC 3.4.21.25)は、前駆体から88残基/10 kDaのプロペプチドが除去されて、3つのドメイン(スブチリシン様触媒ドメイン、プロテアーゼ関連ドメインおよびC末端フィブロネクチン-Ⅲ-様ドメイン)からなる621残基/67 kDaのタンパク質へと成熟する。ククミシンはこのプロペプチド自身によって阻害されると報告されている。研究チームは今回、成熟ククミシンとプロペプチドの複合体構造を分子置換法により分解能1.95 Åで決定した(参考図はPDB登録の複合体構造とククミシン構造)。
  • 41110001
    • 複合体におけるプロペプチドには、4本のストランドからなる逆平行βシート、2本のヘリックスおよびC末端領域のストランドで構成されるα-βサンドイッチモチーフのドメインが存在した。
    • プロペプチドのβシートが、疎水性結合と27の水素結合を介して、ククミシン表面の2本の平行ヘリックスに結合し、C末端ドメインがペプチド基質として活性部位のクレフトに結合していた。阻害アッセイは、プロペプチドC末端の7残基はククミシンの活性を阻害しないことを示唆した。
    • [成熟化モデル] 成熟ククミシンのN末端とプロペプチドのC末端の間の解離しやすい結合が活性部位のクレフトに位置することで、自己開裂が起こり、N末端が〜16 Å変位してヘリックスを形成し、プロペプチドは活性化しているククミシンを含む他のプロテアーゼで分解される。