[出典] "Molecular recording of mammalian embryogenesis" Chan MM, Smith ZD [..] Meissner A, Weissman JS. Nature 2019-05-13 (bioRxiv 2018-08-03).
背景
背景
- 近年、細胞型 (細胞機能)と細胞系譜同時に追跡することが可能になった。細胞機能は、解析対象の組織・器官を対象とする単一細胞RNAシーケンシング (scRNA-seq) によるトランスクリプトミクスによって同定することが可能であった。細胞系譜は、CRISPR-Cas9が合成DNAからなる細胞内の'記憶素子'書き込むindels変異を、特定のステージや成体の細胞から読み出すことで、再構築することが可能になった。
- UCSF、Broad Institute、Harvard University、Max Planck InstituteならびにUC Berkeleyの研究グループ が今回開発した'記憶素子'は、プロモーターの下流に、トランスクリプトームのプロファイリング用の蛍光タンパク質DNA、8-bpの長さのスタティックなバーコード配列 (integration barcode, intBC)、続いてCas9の切断サイト3種類を帯びたDNAを結合した長さ205-bpの合成DNAである。
- この3チャネルの'記憶素子'のカセット (原論文ではTarget-site cassette)と、マウス、ヒトおよびウシ由来の3種類のプロモーターによってそれぞれ発現させる3種類のsgRNAsを帯びたカセット (three-guide cassette)とを単一のpiggyBacトランスポゾンベクターに組み込む。
- 研究グループは、このベクターをトランスポザーゼ mRNAならびにRosa26::Cas9:eGFP精子細胞と共に卵母細胞に注入し、その後、胎生期E8.5またはE9.5の胚を解析し、遡及的に再構築した細胞系譜にscRNA-seqからの細胞機能を重ね合わせた。
- 胚形成の過程で分化全能性が徐々に失われていき、互いの距離が近い細胞系譜に由来する細胞の転写プロファイルが似る傾向があることを確認した。
- 一方で、胚体外内胚葉に由来する細胞と胚体内胚葉に由来する細胞が同様の転写プロファイルへと収斂する現象も見出した。
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