1. 一世紀にわたる謎であったカタツムリの右巻き/左巻きを決定する遺伝子、CRISPRノックアウト実験により特定
[出典] "The development of CRISPR for a mollusc establishes the formin Lsdia1 as the long-sought gene for snail dextral/sinistral coiling" Abe M, Kuroda R. Development 2019-05-14.
  • 東京理科大学の研究チームは、淡水カタツムリLymnaea stagnalisは右巻きであるが、Lsdia1をノックアウト (両アレル・フレームシフト変異導入)することで左巻きの個体が生まれることを見出し、右巻きと左巻きを決定する遺伝子がLsdia1であると特定し、さらに、Lsdia1が1細胞期にキラリティーを決定し、第3卵割の際に、細胞内キラリティーが細胞間キラリティーへと転換されることを見出した。
2. 組織特異的CRISPR変異誘発実験の基盤となるショウジョウバエ・ライブラリを構築
[出典] "A large-scale resource for tissue-specific CRISPR mutagenesis in Drosophila" Port F [..]  Boutros M. bioRxiv 2019-05-13. > eLife 2020-02-12
  • ドイツDKFZの研究グループは今回、キナーゼ、フォスファターゼ、転写因子およびヒト疾患関連遺伝子のオーソログを標的とする最適なsgRNAsペア (以下、sgRNA1とsgRNA2)を選定し、UAS-sgRNA1-sgRNA2を帯びたHeidelberg CRISPR Fly Design Library (HD_CFD library)を構築し、マイクロインジェクションを介してショウジョウバエに導入し、HD_CFD系統を作出した (投稿までに、1,264遺伝子を標的とするsgRNAsペアを帯びた1,428系統を作出)。
  • 次に、HD_CFD系統と、オンターゲット活性が高く細胞毒性が低いCas9タンパク質遺伝子(UAS-Cas9トランスジーン)を組み込んだact-cas9;;tub-Gal4/TM3系統とを交配し、GAL4を介した条件付き(組織特異的)CRISPR-Cas9変異誘発を実現し、必須遺伝子候補259種類を同定した。
3. ジェノタイプもフェノタイプも画像で判定するプール型CRISPRスクリーニング法により、lncRNA局在の調節因子を同定
[出典] "Imaging-based pooled CRISPR screening reveals regulators of lncRNA localization" Wang C, Lua T [..] Zhuang X. PNAS 2019-05-13
  • Harvard Universityの研究チームは、sgRNAに、蛍光レポータ遺伝子とバーコードを結合したコンストラクトを設計・作出し、蛍光レポータをsmFRETで、バーコードをMultiplexed error-robust fluorescence in situ hybridization (MERFISH)で読み取ることで、高精度 (誤判定率~1%)でのバーコード同定ひいては画像ベースでのsgRNA同定を実現した。
  • 162種類のsgRNAsを使用して54種類のRNA結合タンパク質のRNAの核分画内局在を分析し、lncRNA (MALAT1)の核スペックルへの局在を下方制御する因子と上方制御する因子の双方を同定した。
4. [レビュー] エンハンサーとプロモータの長距離間クロストークと遺伝子発現制御
[出典] REVIEW "Long-range enhancer–promoter contacts in gene expression control" Schoenfelder S,  Fraser P. Nat Rev Genet 2019-05-13.
  • CRISPR技術を含むゲノミクスとゲノム編集技術の進歩、および、顕微鏡技術の進歩によって、遺伝子発現制御におけるエンハンサーとプロモーターの動態とその機能の研究が急速に進み始めた。The Babraham Instituteの研究チームは今回、エンハンサーとプロモーターの相互作用が生成され維持される機構、哺乳類ゲノムの3次元構造がエンハンサーとプロモーターの物理的接触を亢進すると共に抑制する機構、エンハンサーの不全と疾患との因果関係に関する最新の知見をレビュー;CRISPR genome/epigenome編集、CRISPRスクリーン、CRISPR-a/iに言及