1. dCas9による調節因子を利用してマスター転写因子Sox1の組織特異的抑制の機構を探る
[出典] "Targeted removal of epigenetic barriers during transcriptional reprogramming" Baumann V [..] Stricker SH. Nat Commun 2019-05-09.
  • [背景] 一連の標的遺伝子を転写調節することで細胞運命を決定する'マスター転写因子'の存在は知られているが、マスター転写因子の活性を組織特異的に抑制し細胞同一性を維持する分子過程を特定するに至っていない。
  • [概要] Ludwig-Maximilian-Universitätと Institute of Stem Cell Researchのドイツ研究グループは、人工的な転写活性因子CRISPRa (dCas9-VP64)人工的な脱メチル化因子 (dCas9-Tet1)を利用した解析を介して、Sox1がマスター転写因子でありその内在遺伝子の活性化がグリア前駆細胞の神経細胞分化能を回復し、加えて、Sox1のプロモーターのDNAメチル化がSox1遺伝子のトランス転写活性化を抑止し細胞同一性を維持することを見出した。
  • [実験結果] Sox1のプロモーターを標的とするCRISPRaによりSox1の転写とタンパク質発現が上方制御はされるが、応答レベルは低くまた不均一であり細胞集団の中の多くの細胞がCRISPRaに応答しない。一方で、脱メチル化酵素であるメチル化シトシンヒドロキシラーゼTet1をdCas9に融合したエピゲノム編集因子は、多くの神経前駆細胞においてSox1の転写を活性化し、分化能が回復し、細胞同一性が破られる。
2. [プロトコル] ゼブラフィッシュのCRSISPR-Cas9ゲノム編集:胚発生毒性研究への応用
[出典] PROTOCOL "Genome Editing in Zebrafish Using CRISPR-Cas9: Applications for Developmental Toxicology" Warner BK, Alder JK, Suli A. Methods Mol Biol 2019-05-09.
  • 毒物または化合物が胚発生を障害する分子機構を解明するツールとして、CRISPR-Cas9 RNPに基づく化合物スクリー法を解説
3. [レビュー] ファージ由来anti-CRISPR (Acr)タンパク質の発見と機能
[出典] REVIEW "Keeping crispr in check: diverse mechanisms of phage-encoded anti-crisprs" Trasanidou D [..] Nobrega FL, Staals RHJ. FEMS Microbiol Lett 2019-05-11.
  • イントロダクション (CRISPR-CasシステムとAcrsの共進化);Acrsの作用機序 (CRISPR-Casシステムのクラス1と2それぞれに対して);Acrsの応用 (CRISPR-Cas活性の精密な時空間制御、遺伝子ドライブ制御、ファージ療法)
4. 内在CRISPR-Casによる自己DNAターゲッティングを介したバクテリア変異体選別の可能性
[出典] "Outcomes and characterization of Chromosomal Self-Targeting by Native CRISPR-Cas Systems in Streptococcus thermophilus" Cañez C, Selle K, Goh YJ, Barrangou R. FEMS Microbiol Lett 2019-05-11.
  • S. thermophilus DGCC7710をモデルとして、自己ゲノムDNAを標的とする内在するタイプI-Eまたはタイプ II-A CRISPR-Casシステムをプログラムしたプラスミドが、用量 (0.4-400 ngのプラスミドDNA)依存性の致死性を示すことを明らかにし、また、致死性を回避する機構も明らかにした。
5. [レビュー] CRISPR-Cas9ゲノム工学によるイネの塩耐性向上
[出典] REVIEW "CRISPR-cas 9 directed genome engineering for enhancing salt stress tolerance in rice" Farhat S [..] Rai V. Semin Cell Dev Biol 2019-05-07.
  • Indian Agricultural Research Instituteを主とするインドの研究グループによるレビュー
6.  ヴィティス・ヴィニフェラ種ブドウに合うCRISPR/Cas9
[出典] "Efficiency Optimization of CRISPR/Cas9-Mediated Targeted Mutagenesis in Grape" Pen F [..] Liang Z. Front Plant Sci 2019-05-16
  • シャルドネと41Bにおけるカルテノイド合成酵素のエクソンを標的とする遺伝子編集効率を測定:
  • 効率がsgRNAのGC含量に比例して65%まで向上するが、SpCas9の発現レベルが効率に与える影響は小さく、シャルドネよりも41Bの編集効率が高いことを同定