[出典] "Genome-wide cell-free DNA fragmentation in patients with cancer" Cristiano S, Leal A, Phallen J, Fiksel J [..] Scharpf RB, Velculescu VE. Nature 2019-05-29;"Johns Hopkins Researchers Design New Blood Test That Uses DNA ‘Packaging’ Patterns to Detect Multiple Cancer Types" Johns Hopkins Medicine Newsroom 2019-05-29. (DELFIは' ‘DNA evaluation of fragments for early interception'に由来する)

 癌細胞から放出され血中を循環するセルフリーDNA 断片(cfDNA)は、癌の非侵襲的診断の手がかりとして有力である。米国Johns Hopkins University School of Medicineを中心とする米・オランダ・デンマークの研究グループは今回、超高感度な検出法を必要とする癌特有の変異に替えて、いわば癌特有の変異全体を見渡すことになる「ゲノム配列からみたcfDNAの断片化パターン」を捉えることで、癌の有無と、癌が存在する場合はその由来組織の同定を可能とするDELFI法 を開発した。
  • 208名の癌患者 (乳癌 54名、胆管癌 26名、大腸癌 27名、胃癌 27名、肺癌 12名、卵巣癌 28名および膵臓癌 34名;ステージ I, II, III, IV, X)と215名の健常者の血漿から抽出したcfDNAをシーケンシングし、ゲノム配列にマッピング、5-Mbpのウインドウサイズで、1ウインドウあたり >20,000のリード (reads)からそのウインドウでのcfDNAのサイズと量 (カバレージ)から、cfDNA断片化パターンを見てく(原論文 Fig. 1参照)。
  • 健常人のcfDNA断片化パターンは共通性が高く白血球のヌクレオソームDNAのパターンを反映していたが、癌患者のcfDNA断片化パターンは、血液細胞と腫瘍細胞のヌクレオソームDNA由来が混合し、健常人のそれと異なり、また、患者内で多様であった (原論文Fig. 3参照)。
  • 癌患者と健常者を判別する機械学習モデルは、Gradient Tree Boosting (勾配ブースティング回帰木)のアルゴリズムによった。
  • 癌検出の精度は、98%の特異度に対して、乳癌の57%から肺癌の100%と癌型によって異なった 。またステージでみると、同じく98%の特異度に対して、感度はステージIの68%からステージIVの77%、およびステージX (3名)の100%が得られた。
  • ROC曲線の下の面積 (Area Under the Curve: AUC)値で評価すると、変異DNA (mtDNA)準拠の0.72とコピー数準拠の0.88に対して、DELFIは0.94に達した (完全な分類だとAUC=1)。
  • DELFIの機械学習モデルは、全ケースの75%について、癌cfDNAが由来する組織同定を実現した。
  • DELFIに変異DNAのデータを加えると、癌の検出感度は91%へと向上した。
  • DELFIは、より短い断片の捕捉やPCRフリーのシーケンシングなどの技術改良を介してより高精度にしていくことが可能であり、また、より大きなコホートからのデータに基づく機械学習モデルの高精度化も期待できる。