(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/10/25)CRISPR関連文献メモ_2016/10/25
  • Corresponding author(s): Cristina Pina (U. Cambridge); George S. Vassiliou (Sanger Inst./Cambridge U. Hospitals/U. Cambridge); 遊佐宏介 (Kosuke YUSA, Sanger Inst.)
  • 必須遺伝子探索に最適化したCRISPR/Cas9プラットフォームを開発することで、AML細胞株において既知の治療標的に加えて多数の新規必須遺伝子を発見した。その中で、KAT2A 遺伝子を阻害すると、骨髄細胞分化と細胞死が誘導され、正常な前駆細胞へ影響することなく特異的にAML初代細胞の増殖を停止し、モデルマウスが延命されることを見出した。
  • 41920001
    • 研究チームは、gRNA最適化の先行研究(CRISPR関連文献メモ_2015/12/25 4.[論文])を参考にしながら、gRNAの新たなスキャフォールド(iScaffold:参考図内Figure S1 Aを参照)とgRNA作出パイプラインを開発し、マウスES細胞でその性能を確認した。さらに、ヒト結腸腺癌由来HT-29細胞株においてCas9の発現率を高める手法を開発し、ヒトの18,010遺伝子を標的とする90,709 gRNAsによる遺伝子破壊実験によって、iScaffoldに基づくヒト細胞におけるCRISPRドロップアウトスクリーンのプラットフォームを確立した。
    • 5種類のAML細胞株(MOLM-13, MV4-11, HL-60, OCI-AML2, およびOCI-AML3)と、HT-29に加えて非AML細胞株であるヒト皮膚由来線維芽細胞株HT-1080を対象とするドロップアウト・スクリーンを実施し、2種類上のAML細胞株で致死とされ、かつ、2つの非AML細胞株では致死に至らなかったgRNA標的遺伝子群に注目した。AML細胞株の必須遺伝子候補は、全体として492種類(AML細胞株ごとの必須遺伝子は66〜223種類の範囲)であり、3種類以上の細胞株に共通な必須遺伝子候補が66種類(すべてのAML細胞株に共通な必須遺伝子候補は5種類)であった。
    • ゲノムワイドのドロップアウト・スクリーンからの必須遺伝子候補8種類について、1遺伝子あたり2種類のgRNAによる遺伝子破壊実験と臨床化合物による薬理学実験からの裏付けを得たことから、492遺伝子のドラッガビリティー(druggability)をDrug Gene Interaction Databaseによって判定したところ、227遺伝子がドラッガブルであった(参考図内Figure 4を参照)。
    • 492遺伝子には2種類の固型腫瘍由来細胞の必須遺伝子は含まれていないが、造血幹細胞を含む正常な血液細胞には必須ではない遺伝子を改めて推定し、KAT2A がAML細胞に特異的に作用する治療標的であると特定した。