(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/09)
  • Corresponding authors: 村松知成;横山茂之(理化学研究所)
  • 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)の3C様プロテアーゼ(3C-like protease: 3CLpro)は、P4-P1とP1′を認識することに依って、自身のN末端とC末端の自己プロセッシング部位も含むポリプロテイン(polyprotein)の11カ所を切断するとされている。
  • 3CLproは二量体を形成することでタンパク質分解活性を発揮する。3CLproのサブユニットは、N末端フィンガー(1-8残基)、触媒ドメイン(8-184残基)およびC末端ドメイン(201-306残基)で構成されている。
  • 研究チームは今回、C末端のプロ配列10残基と触媒ドメインにC145A変異が存在する3CLpro前駆体(pro-form)の結晶構造を解き、SARS-CoVポリプロテインの3CLproのC末端自己プロセッシングが、独特の機構で基質を認識することを見出した。
    • 今回の構造解析に依って、二量体の一方のプロ配列が、隣接する非対称ユニットのサブユニット活性サイトに基質として結合していることを確認した。
    • この構造情報と生化学的実験から、SARA-CoVポリプロテインにおける3CLproのC末端自己プロセッシングは、切断サイトの上流P2の位置と下流P3’の位置の双方がフェニルアラニン(Phe)であることを必要とする独特の基質認識をすることを見出した。PheがP2の位置を占めると、基質結合ポケットのコンフォメーションが変化し、P3’位置がPheのサブサイトになる。
    • これまで、3CLproの基質認識は、P2がロイシン(Leu)であることを必要とし、P3′に特定のアミノ酸を必要としないと繰り返し報告されていたが、C末端自己プロセッシングサイトにおけるPhe(P2)をLeuに変異させると、前述のコンフォメーション変化は生じず、Phe(P3’)は必要とされなくなった。
    • 今回見出した独特の基質認識機構によって、成熟型3CLproに因る自己阻害を回避することが可能になる。