1. X線結晶構造解析によるCas13dの構造機能解析
[出典] "Two HEPN domains dictate CRISPR RNA maturation and target cleavage in Cas13d"
Zhang B, Ye Y, Ye W [..] Ouyang S. Nat Commun 2019-06-11;PDB ID - 6IV8, 6IV9 (2019-06-13公開待ち)
  • タイプVI-D CRISPR-CasエフェクタCas13dは、標的RNAの編集を可能とするリボヌクレアーゼとして注目を集めてきた。
  • 今回は、福建師範大学、青島海洋科学技術パイロット国家実験室、国立台湾大学ならびに生物物理研究所 (北京)の研究グループが、単波長異常分散法によりSeMetで標識したRuminococcus sp. Cas13d (UrCas13d)-crRNAの複合体の構造を1.86 Å分解能で解き、この構造をモデルとして、UrCas13d-crRNAの構造を2.15 Å分解能で解き、2つのMg2+イオンがcrRNAリピート領域のコンフォメーションを安定化し、HEPNドメインが、crRNAの成熟と標的RNAの切断を担うことを同定し、切断の分子機構を詳らかにした。
 Cas13d関連crisp_bio記事
  • CRISPRメモ_2019/04/17-1 [第2項] タイプVI-D CRISPR-Casシステムにおいて、アクセサリータンパク質WYL1がエフェクターCas13dの活性を亢進する機構
  • CRISPRメモ_2018/09/21_1 [第2項]CRISPR-Cas13dのRNAガイド・リボヌクレアーゼ活性の構造基盤
  • CRISPRメモ_2018/05/06 [第1項][Research Highlights] RNAノックダウンとスプライシング制御を可能にする小型のCas13d (CasRx)をハイライト
  • 2018-03-17 これまでで最小かつヒト細胞で活性なCas13dの同定と解析2報(Salk研;Arbor Biotechnologies/NCBI)
2. スペルミジンが、E. coliのCRISPR Cas1-Cas2インテグラーゼの忠実度を向上させる
[出典] "Spermidine strongly increases the fidelity of Escherichia coli CRISPR Cas1–Cas2 integrase" Plateau P, Moch C, Blanquet S. J Biol Chem 2019-06-06.
  • CRISPR-Casシステムは'adaptation'の過程で、外来DNAの断片がCRISPRアレイの然るべきサイト (CRISPRアレイのリーダー配列とリピート配列の境界:ターゲット) にスペーサとして順次組み込まれていくことで、獲得免疫機能を発揮する。しかし、CRISPRアレー以外のオフターゲットに組み込まれ、この現象がin vitroで比較的高頻度で発生しin vivoでは稀であることが知られている。
  • Ecole polytechniqueの研究チームは今回、ターゲットとオフターゲットへの挿入をin vitroアッセイする手法を開発し、遍在するポリアミンであるスペルミジンを2 mM添加すると、オフターゲット挿入頻度を20分の1にまで低減することを見出した。
  • また、組込み宿主因子 (integration host factor: IHF)の存在下で、CRISPR遺伝子座へのスペーサ組み込みが1.5倍に向上した。
  • 研究チームはDNAを折り曲げる因子そしてまたはポリアミンがDNAの副溝 (minor groove) を広げながら主溝 (major groove) を閉じる機構が挿入を亢進することを示唆した。
3. CAMIO: 多細胞生物における内在DNA配列のハイスループット欠失解析を実現
[出典] “CAMIO for deletion analysis of endogenous DNA sequences in multicellular organisms” Chen H [..] Lee T. bioRxiv 2019-06-03. > Nucleic Acids Res 2020-03-18.
  • HHMI Janelia Research Campusの研究グループは今回、ノンコーディング領域のシスエレメントの機能解析も可能とするハイスループットな標的欠失実験法'CAMIO (Cas9-mediated Arrayed Mutagenesis of Individual Offspring)'を開発し、ショウジョウバエの機能ゲノミクスにて評価した。
  • はじめに、互いに重複しないgRNAsのライブラリー2セットから、2種類のgRNAsの可能な組み合わせを、生殖幹細胞で発現させる。次に、Cas9を雄生殖細胞にだけに発現させ、交配を経て、gRNAに誘導されたCas9の切断部位の周辺または中間に欠失を帯びた多様な子孫を作出する。こうして、局所的小規模な多様な欠失または大規模な欠失を帯びた系統が実現する。
  • このCAMIOによって、キノコ体神経発生過程におけるchinmo遺伝子の発現を支配する5'UTR内の領域を同定した。
4. CRISPR/Cas9スクリーンにより、ヒストン脱メチル化酵素MINA53をHIV-1の潜在化を促進する因子と同定
[出典] "A CRISPR/Cas9 screen identifies the histone demethylase MINA53 as a novel HIV-1 latency-promoting gene (LPG)" Huang H, Kong W [..] Zhou J. Nucleic Acids Res 2019-06-05.
  • CRISPR/Cas9スクリーンにより*latency-promoting gene (LPG)と同定したMINA53の機能を、RNAiによるMINA53ノックダウン実験でも裏付けし、さらに、pan-JUMONJIヒストン脱メチル化酵素阻害因子JIB-04がMINA53を介してH3K36me3の脱メチル化を阻害し、他のlatency-reversing agents (LRAs)と協働して潜在感染HIV-1の再活性化が可能なことを示した (* Fig.1引用下図参照)。HIV-1 LPGs
5. [NEWS & VIEWS]グラフェンに固定したCas9を介して、遺伝子変異を高速検出
[出典] NEWS & VIEWS "Unamplified gene sensing via Cas9 on graphene" Bruch R, Urban GA, Dincer C. Nat Biomed Eng 2019-06-07.
  • グラフェン電解効果トランジスタ技術とdCas9-sgRNA技術を融合することで実現した増幅も標識も不要なDNAセンサーCRISPR-Chipをハイライト