1. 精巣に発現が偏っている遺伝子の30種類について、マウス雄の繁殖力に必須ではないと判定
[出典] "CRISPR/Cas9-mediated genome editing reveals 30 testis-enriched genes dispensable for male fertility in mice"  Lu Y [..]  Ikawa M. Biol Reprod 2019-06-14.

 マウスにおいて主として精巣で発現している遺伝子が1,000種類以上知られているが、その多くについて、精子形成や精子の運動能などの機能への関与、および、生殖に必須か否か、不明である。これら遺伝子の機能を明らかにすることで、今後、男性不妊症の遺伝子診断や、非ホルモン性男性避妊薬の開発が前進する。
 阪大をはじめとする、奈良先端大、Baylor College of Medicine、University of Newcastle、などの日米豪の研究グループは今回、CRISPR/Cas9技術で作出したノックアウト・マウス系統群を利用して、精巣にエンリッチされている遺伝子の機能をin vivoで解析してきた成果を発表した。
  • 生殖に必要な遺伝子 (必須因子)であるか必ずしも必要ではない遺伝子であるかは、ノックアウト・マウスの繁殖力を判定することで容易に判定可能である。
  • 必須因子の大規模スクリーニングにおいて、発現が精巣に偏り、ほとんどがヒトを含む哺乳類で保存されている遺伝子30種類と、さまざまな組織で発現している遺伝子4種類の計34種類の遺伝子をノックアウトした雄の繁殖力を判定した。
  • その結果、これら遺伝子はノックアウトしても雄の繁殖力に影響を与えず繁殖の必須因子ではないと判定した。これらの遺伝子が未知の因子を介して生殖に関与する可能性はあるが、少なくとも、繁殖には冗長である。
  • 今回明らかにした非必須遺伝子と関連するフェノタイプは、男性不妊症の基礎研究と療法研究の効率化に貢献する
2. 精巣に特異的に発現する遺伝子Dpep3は、マウス雄の繁殖力に必須ではないと判定
[出典] "The testis-specifically expressed Dpep3 is not essential for male fertility in mice" Xie Y [..] Jiang X, Shi Q. Gene 2019-06-15.
  • 精子形成に2,300種類を超える遺伝子が関与するとされているいるが、その殆どについて、雄の繁殖力への関与は不明である。Dpep3はヒトを含む哺乳類 (有胎盤類)で保存されており、主として精巣で特異的に発現するとされている遺伝子である。
  • 中国科学技術大学研究グループは今回、Dpep3 mRNAが精巣に特異的に検出されこと、および、DPEP3の進化的保存性を確認し、CRISPR/Cas9でDpep3ノックアウト (Dpep3−/−)によって精子数が著しく減少するが繁殖力は失われず、組織学的解析でも異常は見られないことを、報告した。
  • 本報告は、雄の妊性に必須な遺伝子を対象とする研究の効率化に貢献する。