(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/29)
  1. [論文] Cas9によるDNA二重鎖切断を分子動力学でシミュレーション
    • Corresponding author: Jin Liu (U. North Texas Health Science Center)
    • spCas9-sgRNA-dsDNA複合体の分子動力学シミュレーションを行い、Cas9による切断はDNA二重鎖の末端に1-bpのずれを伴う付着末端(staggered ends)をもたらすことを見出した。また、ヌクレアーゼの基質認識と活性には一組のMg2+が重要であるが(Yang, W. et al., 2006)、Cas9のRuvCドメインの活性部位に一組のMg2+が結合することで、gRNAに非相補的DNA鎖の切断に向いたコンフォメーションが誘導されることを見出した(原論文のFigure 1を引用した参考図参照)。42910001
  2. [論文] 常染色体優性網膜色素変性症in vitroおよびin vivoモデルにおいて、Rhodopsin 変異遺伝子をノックダウン
    • Corresponding authors: Alessandra RecchiaValeria Marigo (U. Modena and Reggio Emilia)
    • ヒトRHO 遺伝子の第1エクソンを標的とする2種類のsgRNAとCas9のプラスミドを送達することで、RHO の発現をin vitro においてはほぼ完全に抑制し、in vivo では強く抑制した。
    • In vitro モデルは、野生型またはP23H変異型のRHO を恒常的に発現するように改変したHeLa細胞。In vivo モデルは、ヒトのP23H変異型RHO ミニ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスであり、Cas9-sgRNAsのプラスミドを網膜下エレクトロポレーション。
  3. [Editorial(論文紹介)] 多重gRNAの同時発現を可能にするプラスミドの効率的構築法
    • Corresponding author: Yonglun Luo (Aarhus U.)
    • 30種類までのgRNAを同時発現可能なコンストラクトを3段階のGolden Gate Assembly法によって1週間で構築。ヒト細胞において10種類の遺伝子座を同時編集。プラスミドをAddgeneから入手可能
  4. [論文] CRISPR/Cas9によってハイブリッドライスの開発を効率化
    • Corresponding author: Chuxiong Zhuang (South China Agricultural U.)
    • CRISPR/Cas9を利用して温度感応性雄性不稔(thermo-sensitive genic male sterility; TGMS)遺伝子TMS5 の10ヶ所に変異を導入し、標的の編集効率とオフターゲット編集を評価した上で、外来遺伝子を含まない(“transgene clean”)系統を生成する最適なコンストラクトTMS5abを同定。TMS5abを利用することで、1年で11種類のTGMSライス系統を樹立。
  5. [論文] CRISPR/Cpf1はライスの遺伝子編集に有用である
    • Corresponding authors: Pengcheng WeiJianbo Yang (Rice Research Institute, Hefei)
    • ライスのOsPDS 遺伝子とOsBEL 遺伝子を標的として、CRISPR/Cpf1システムによる遺伝子編集を試行。その結果、効率的かつ継代可能な変異導入が可能なことを実証し、また、CRISPRアレイに対応する繰り返し配列全長のpre-crRNAsが、成熟crRNAsよりも高い編集効率をもたらすことを発見。