[出典] "Type I-F CRISPR-Cas resistance against virulent phage infection triggers abortive infection and provides population-level immunity" Watson BNJ [..] Fineran PC. bioRxiv 2019-06-21.

 バクテリアに感染しその中で増殖するファージには、バクテリアのゲノムに入り込みリプレーサーが不活性化されない限り増殖しない溶原ファージ (temperate/ysogenic phage)と、バクテリアに感染後に細胞内で増殖し細胞を破壊し次々にバクテリア集団を破壊していく毒性ファージ (virulent phage)が存在する。

 溶原ファージや繊維状ファージの感染に対しては、CRISPR-Cas免疫応答システムがバクテリア細胞を保護することが報告されてきたが、U. Otago、U. CambridgeならびにU. Exeterの研究グループは今回、Pectobacterium atrosepticumのタイプI -F CRISPR-Casシステムは、感染細胞の利他的 (altruistic)細胞死である不稔感染 (abortive infection: Abi)に似た機構を介して集団免疫をもたらすとした。

 2種類の互いに独立なファージ、ɸTEとɸM1、の感染実験により、P. atrosepticumにおいて、ファージを放出する細胞の数が減少し、かつ、1つの細胞が放出するファージ数 (バーストサイズ)の平均値も低下した。ファージ感染細胞は、代謝プロセスを停止し、細胞膜の統合性を失い、細胞死に至り、I-F CRISPR-Casはこの細胞死を抑制することはなかった。